UEFAガイド:良質なスタジアム建設の手引き
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86:3冷暖房システム一般エリアの冷暖房これは、スタジアムが置かれている環境(すなわち気候が温暖か寒冷か)、予算、想定する快適さレベルおよび開催するイベントの種別といったさまざまな要素を考慮して検討されるべき事柄です。設置費用と日々の運用費の問題から、一般的には、コンコースや他の一般エリアへの冷暖房システム導入は推奨されていません。逆に、スタジアム建物内の全てのVIPおよびVVIPエリアとスカイボックスには冷暖房システムの設置が推奨されています。運営管理に利用されるエリアや日常的に公衆が利用するエリア(レストランやレジャー施設など)にも設置されていることが望ましいでしょう。それらのエリアは快適さが第一とされる商業目的に利用される可能性があるからです。更衣室、メディア用エリア、マッチコミッショナーや各関係者室、キッチンなど、その他全ての建物内のエリアには、暖房設備は必要とされますが、冷房システムは必要とは限りません。スタジアム概要の作成段階において、クライアントの目的や期待度に基づいて、ケース・バイ・ケースでより詳細に特定の要素を評価する必要があります。Fスタンドの冷暖房極端な暑さや寒さなどには対策が必要だという認識が高まり、スタジアム・デベロッパーや設計者はスタンド・エリアそのものにおける観客の快適さを向上させるための手段を検討するようになりました。この領域に関しては多くの進歩も確認されてはいますが、スタジアム・デベロッパーは、特に持続可能性と環境への責任という観点から、メリットを注意深く検討した上で、冷暖房システムを導入するかどうかを判断する必要があります。冷房夜間開催の試合でも観戦中に不快を覚えるほど暑さが厳しい国々のスタジアムでは冷房システムが一般的になりつつあります。さまざまなシステムがありますが、クーラーかエアコンかを判断する必要はあるものの、導入の目的とその成果は似通っています。いずれの場合も、周囲の温度を観客にとって、実を言えば選手にとって、問題のないレベルにまで下げるためには大量の空気を冷却処理しなければなりません。一般的に冷たい空気は暖かい空気よりも重く、地表付近にとどまる傾向があるため、選手が特に冷房の恩恵を受けることになります。しかし、そのために必要な費用やエネルギー消費量は必ずしも「グリーン」基準や環境に優しい設計基準と一致するものではありません。この問題に対処すべく、国によっては、スタジアム冷房システムでの利用に特化したクリーン・エネルギーを生み出す方法を見つけるためにコンサルタントを採用するスタジアム・デベロッパーも現れるようになりました。採用されているソリューションには、ソーラーパネル、太陽電池パネル、風力発電機などが含まれます。これらの設備を備えたスタジアムは日常的にクリーン・エネルギーを地元の発電所に売り戻しながら、試合開催日には必要なエネルギーを引き出すことができるわけです。システムおよび電気系統の設置

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