81スタジアムの屋根に関する方針座席を覆う屋根は必須条件ではありません。従って、スタジアム・デベロッパーは悪天候から守られる快適さをはじめとしたメリットと、設置に伴う建設費用の増加をてんびんにかけて判断を下す必要があります。座席を覆う屋根は北方の国々では雨や風から、南方の国々では強い日差しと暑さから観客を守ります。特定の条件下では開閉式の屋根が最適なソリューションとなることもあるでしょう。それによってスタジアムは過酷な気象条件下でも使用可能となり、コンサートなど他のイベント会場として利用される可能性も高まることになります。優れた屋根の設計にはピッチ上にできる影の影響や適度の日射量の確保といった要素に関する配慮がなされている必要があります。日差しが不十分では芝にとって最適の環境を保つことができず、ピッチの寿命の短縮を招いたり、ともすれば費用のかさむ天然芝用の人工ライト装置で自然光不足を補う必要が生じたりする可能性もあります。屋根と外壁はピッチの適度な自然換気ができる造りになっていることも重要です。それが設計上の問題で実現されないようであれば、同じく高価な人工換気装置の導入を強いられることもあります。ピッチ上にできる日なたと日陰の強いコントラストは選手に影響を与え、結果として試合のクオリティーに悪影響を及ぼす可能性があります。テレビ中継にとってもマイナス要素となり得ます。スタジアムの覆いを設計する時点で考慮し、回避する策を事前に講じておく必要があります。スタンドを覆うための選択肢スタジアムを屋根で覆う設計には、座席からの視界の妨げとなるあらゆる要素を取り除く必要があるため、複雑な構造上の解決策が求められます。非常に長い構造上のスパンが必要とされ、それらは費用と技術の両面でかなりの困難を伴います。建築家と技術者はスタジアムの屋根に関する最適な構造設計は何かを判断しなければなりません。それを実現する方法はいくつかあります。最終的な判断は屋根がスタジアムの全体を覆うものなのか一部を覆うものなのか、建築家の設計コンセプト、そして当然ながら現実的な予算によって決定されることになります。スタジアムの一部だけを屋根で覆う場合には、通常、ピッチの西側に位置するメインスタンドが優先され、続いてその反対側(東側)のスタンドが対象となる例が一般的です。:2屋根およびファサードEスタジアムの構造
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