62主な利用者および機能:1観客関連の一般的な必要事項快適さの一般水準スタジアムが、大半が立ち見の状態でできる限り多くの観客を詰め込むことを目的とした、味気ないコンクリートの建物だった時代はとうに終わりを告げました。スタジアムの全席座席化の傾向は観客のサッカー観戦体験に根本的に新しい楽しみ方をもたらしています。結果として、スタジアムにおける安全性が格段に向上しただけではなく、その快適さも大幅に改善されることになりました。過去20〜30年の間に、スタジアムではVIPに限らずあらゆるカテゴリーの観客にとっての快適さが著しく進歩しているのです。現在では、スタジアムを訪れる障がい者の方々がスタジアム内で不自由なく移動するために、必要とされる座席周りやアクセス関連の設備にも特に配慮されるようになりました。必要事項に関する詳細はUEFA−CAFE刊行の『Access for All』に記載されています。快適さと収容人数の間の得失評価は慎重に行わなければなりません。各座席に割かれるスペースが増えればスタジアムの収容人数が減ることになり、対応策として会場の規模を大きくしようとすれば建設とメンテナンスに要する費用の増加を招くことになります。座席の構造や配置のわずかな違いでも費用面と収益面に大きな影響をもたらしかねません。それでも、今日では、観客にとっての快適さと観戦クオリティーを高めるために、収容人数を若干低めに設定する傾向が強まっています。しかし、その際にはUEFAあるいはFIFAの国際競技会に必要とされる収容人数規定を考慮した上で決断を下すべきでしょう。スタジアムの質に悪い影響を及ぼす可能性のある主な要素としては、設備の配置、スペースの使い方、および/あるいは建物内の一般エリアと非一般エリアそれぞれの利用者の動き方の違いが考慮されていない動線設計のまずさが挙げられます。スタジアムにおける動線を計画する際には、まずは観客の到着と入場後の流れに注力することが一般的に推奨されます。それらは座席の位置(すなわちスタンドとその階層)と座席カテゴリー(すなわち一般席またはVIP席)という二つの主な要因によって決定されます。利用者カテゴリーの識別スタジアム内の動線設計においては、以下に挙げる利用者とそれぞれのニーズが明確に区別される必要があります。◦一般客◦VIPおよび自治体関係者◦選手、コーチングスタッフおよびチームスタッフ◦審判員および試合関係者◦メディア◦スチュワードおよび民間警備オペレーター◦メンテナンス作業員◦運営スタッフ◦売店スタッフ◦救急隊および公衆安全サービス人員初期設計段階において前記利用者に関する活動と動線が的確に想定されていない場合には、組織的に不都合な状況が発生することになります。従って、試合前、試合中および試合後における各利用者グループの入退場口、スタジアム内での動線と最終的な目的位置が明確にされている、調整の行き届いた総合的な動線計画が不可欠となります。また、前記の全利用者カテゴリー内の障がい者に対しても適切なアクセスが提供されるように考慮することが大切です。D
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