UEFAガイド:良質なスタジアム建設の手引き
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57構造面の安全 スタジアムの構造は全て国内および地域で定められている建築基準に準拠したものでなければなりません。特に、観客席と通路エリアに関してはそれが重要です。建物の安全基準と必要条件は国によって異なりますが、いかなるケースにおいても、スタジアム設計には必ず最も厳格な安全基準が適用されなければなりません。前述のように、UEFAは『Guide to Safety at Sports Grounds』(グリーン・ガイド)を実用的な参考資料として利用しています。しかし、当該地域または当該国でグリーン・ガイドよりも厳しい基準が設定されている場合には、原則としてそちらに従うべきです。建築設計安全性は建築設計上のあらゆる事柄の中で最も重視されるべき留意点です。例えば、表面が滑りやすい床材は避ける必要があり、十分な照明、明瞭な案内表示、広いコンコースや使いやすい入退場口、そして全体を通じた不燃性建築素材の使用などが考慮される必要があります。防護柵と手すり転落の危険性がある箇所または観客の誘導が必要な場所には防護柵を設置します。防護柵は横方向の負荷と圧力に耐えられるように設計される必要があります。ボミトリーと放射線状のスタンド内通路に設置される防護柵には観客の視界への影響を最小限に抑える設計が必要です。ビル管理基準に準拠するため、通路エリア周りの内壁や外壁は、防護柵と同様に水平方向の力に耐え得るものでなければなりません。上層スタンド最前列の手すりや防護柵は特に重要です。ほとんどの建築基準では座席前のスペースは通路とは見なされておらず、仕様基準の適用外となるため、通常の手すりよりも低い位置に設定することができます。これらの手すりが観客の視界を妨げず、同時に十分な安全性を提供するだけの強度を備えているように注意を払う必要があります。上層スタンド先端に位置するスタンド内通路終端には、観客の当該移動エリアにおける転落を防止するために高い手すり(110cm)が必要となります。これらの防護柵がスタンド内通路に最も近い座席からの視界を部分的に妨げることは仕方がないとされています。運用面での安全全てのスタジアムは建物全体とその周辺を対象範囲とする完全に統合化された安全・危機管理の対策を必要とします。防災および防犯の管理を集中化すること、その対策責任者には会場の主要エリアを見渡せる視界が与えられていることが重要です。スタジアム運営における利便性を考慮して、スタッフはCCTV(閉回路テレビ)監視カメラの適切な向きにも気を配る必要があります。拡声装置(PA)には、重要時あるいは非常時の場内放送が会場のどこにいてもはっきり聞き取れるだけの高い音響クオリティーが必要です。全てのターンスタイル、防護柵、避難扉と非常口は障害物のない、いつでも使用可能な状態でなければなりません。スタジアムには警備スタッフ用の管理制御室と会議室が設けられていなくてはなりません。警察や救護隊にも適当な設備が必要です。加えて、緊急サービス車両が容易に直接出入りできるアクセスを確保しなければなりません。設計上の主な要素およびスタジアムの機能配置

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