UEFAガイド:良質なスタジアム建設の手引き
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56防火と予防対策過去に起こってしまったスタジアムでの惨事から重要な教訓が学ばれています。悲劇が繰り返されることのないよう、地元の消防局との緊密な協力体制のもと、能動的対策(消化器やスプリンクラー装置など)と受動的対策(セクター分けや防火扉など)を徹底する必要があります。近代的なスタジアムにはコンクリートや耐火鋼など不燃性の建築素材が用いられており、火災発生のリスクは非常に低くなっています。しかしながら、建築素材の進歩があるにしても、消防局や地域の関連当局による安全に関する現行の指針や規制に合致するよう細心の注意を払わなければなりません。スタジアム建築家は防災対策に関して常に地元の消防局と緊密な連携を取るべきでしょう。スタジアムの防火計画を包括的に開発できるような専門家を雇ってデザインチームに加えるのもよいでしょう。そうすれば、スタジアムがオープンするまでには救急隊がそのレイアウトやシステムを完全に理解できているでしょう。設計段階で関連当局の承認を得て、完成時までには最終的な全ての証明書がそろっていなければなりません。:3Cスタジアムにおける安全・危機管理入退場口、ターンスタイル、メイン・コンコース、防火扉、VIPエリア、そしてチーム用およびメディア用の全エリアなどを含めた、スタジアムのあらゆる箇所が防火と安全・衛生に関する国内および地域内の規制と基準を満たしている必要があります。クラブ、サッカー協会、そしてもちろんUEFAも、全ての近代的スタジアムを非常に高い公衆安全性を備えたものにするべく、たゆまぬ努力を重ねてきたのです。UEFA競技会で使用されるスタジアムは全て、安全・危機管理に関する『UEFA Safety and Security Regulations』で定められている条件を満たすものでなくてはなりません。スポーツ施設の安全性に関して英国スコットランド政府がまとめた『Guide to Safety at Sports Grounds』(通称「グリーン・ガイド」)も貴重な参考資料となるでしょう。スタジアム・デベロッパーとそのパートナーが、こうした文書にプロジェクトの初期段階から精通していることは極めて大切です。安全・危機管理に関する主な要件安全・危機管理を適切に行う上での主な側面は以下のとおり。基本理念安全・危機管理は、どのようなスタジアムでも計画、設計、建設、運営管理における最重要事項です。厳重であっても人に優しい安全管理が必要であることが過去の経験を通じて理解されています。会場内にいる人々の身の安全は極めて重要であり、全ての観客が安全に試合を楽しめる環境を実現するための費用を惜しむようなことがあってはなりません。例えば快適さなど、他の側面に制限をもたらすことになったとしても、安全性こそが設計と建設において常に最優先されなければなりません。設計上の主な要素およびスタジアムの機能配置◦防火と予防対策◦構造面での安全◦建築設計◦運営面での安全◦相手サポーターの隔離

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