UEFAガイド:良質なスタジアム建設の手引き
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47設計上の主な要素およびスタジアムの機能配置では、ピッチの傾斜に関してより徹底した分析が求められるでしょう。また、嵐に襲われることのある地中海沿いの国々では、ごく限られた時間内で大量の排水を行う必要が生じます。最後に、メンテナンスに手間や費用のかかる仕様や設備の採用は極力避けることが賢明です。ピッチのメンテナンスピッチの適正なメンテナンスには困難を伴う可能性があります。特に芝の育成は厄介でしょう。気候に恵まれていない国々ではなおさらです。適切なメンテナンスを行うことができなければ、芝の生育に悪化を招いて人工ライトや通気といった措置を強いられることになりかねません。極端に寒さが厳しくなることのある国々では、ピッチの凍結を避けるために下層暖房設備(アンダーヒーティング)が必要です。プラスチック製のシートに暖かい空気を送り出す通風システムが埋め込まれた、暖房付きのピッチ・カバーを使用する方法もあります。ピッチ・カバーは霜を防ぐだけでなく、激しい降雨や降雪からもピッチを守ります。密閉型スタジアムを選択するケースも増えています。その場合、ピッチに対する自然の照光と換気が難しくなります。対策として、ピッチ用の照光装置や大型の換気装置といった人工的な方法が考えられますが、これらは非常に高価なシステムなので、規模の小さなクラブにとっては現実的な解決策とはいえません。人工芝のピッチ気象状況が過酷な国々では、例えば深刻な水不足の問題を抱えている場合など、天然芝のピッチはメンテナンスが困難であるどころか、環境的に無責任な選択として理解されかねません。人工芝のピッチは、より費用対効果が高いばかりではなく、より地域の気候に適した持続可能性の高い選択肢となり得ます。しかし、国際試合でのスタジアム使用が想定されている場合には、天然芝が必須条件とされる場合がありますので、関連するUEFAまたはFIFAの競技会規則を確認する必要があります。

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