UEFAガイド:良質なスタジアム建設の手引き
4/160

4UEFAガイド:良質なスタジアム建設の手引き はじめに日本サッカーはこの四半世紀で、世界にも稀に見る急成長を遂げました。1993年のJリーグの誕生、そして「笑顔のワールドカップ」と言われた2002年の日韓大会、この二つの出来事が日本のサッカーを大きく変貌させました。それまで日本でマイナースポーツだったサッカーは国民的スポーツへと発展。アジアの弱小チームと言われた日本代表も1998年のフランス大会以降、5大会連続で世界のひのき舞台に出場するなどアジアトップレベルの実力を備えるまでになりました。日本のスポーツ環境も様変わりしました。各地に大型競技場やサッカー専用スタジアムが建設されたほか、それまで土のグラウンドだった多くの公共施設が素晴らしい天然芝のフィールドとなり、それが、幼稚園や小中学校の校庭の芝生化へと波及しています。JFAは「JFA2005年宣言」で“2050年までにFIFAワールドカップを日本で開催し、そこで優勝する”という目標を掲げています。また、JFA創設100周年を迎える2021年までにJFA専用のフットボールセンターを建設しようと準備を進めています。極東にある日本が世界に後れを取らないためには、常に“世界”を念頭に置いて取り組む必要があります。それには、日常の練習から試合、選手育成や指導者養成といったソフトの部分もそうですが、練習場やスタジアムといったハードの面でも“世界基準”を目指していくことが重要です。また、スポーツによる国際親善やグラスルーツスポーツの振興という観点からも、感動や興奮、共感を生むスタジアムの存在は大きな鍵を握るものだと思っています。FIFAワールドカップ招致やJリーグの創設に伴って新設・改修されたスタジアムも、20年以上が経過して老朽化が目立つようになりました。Jリーグも53クラブへと拡大し、サッカー専用スタジアムの需要もますます高まっています。また、安全性はもちろん、臨場感や居住性、アクセス、地域色やクラブのアイデンティティーといった独自性、さらには、商業施設や医療・福祉・教育機関などの併設、地域コミュニティーとしての機能など多様な特色を持ったスタジアムが求められています。そういった付加価値の高いスタジアム構想は既に各地で進んでおり、いま日本は、“第二次スタジアム建設時代”を迎えていると言っても過言ではありません。そんな折、『UEFAガイド:良質なスタジアム建設の手引き』の日本語版が発行されたことは、日本のサッカー界にとってこの上ない朗報です。サッカー先進国の最新スタジアムの構造を日本に居ながらにして知ることができる。しかも、スタジアム建設のプロジェクト発足から竣工まで、さらには、利益獲得策としての技術活用や持続可能性を念頭に置いた設計など、良質なスタジアム建設の全貌が細部にわたって網羅されており、われわれサッカー関係者をはじめスタジアム設計や建設、運営に携わる関係者にとって貴重な手引書になることは間違いありません。日本のスタジアム建設に新風を吹き込み、日本サッカー、ひいては日本のスポーツ界の発展に大きく寄与するものだと思っています。本書を参考に、日本ならではの素晴らしい施設が増えていくことを願っています。最後に、本書を発行した欧州サッカー連盟(UEFA)、制作チームの皆さまに心からの敬意と感謝の意を表したいと思います。公益財団法人 日本サッカー協会会長 田嶋幸三President Japan Football AssociationTASHIMA Kohzo

元のページ  ../index.html#4

このブックを見る