UEFAガイド:良質なスタジアム建設の手引き
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17A:8基本計画書基本計画書はスタジアム内と周辺エリアにおける現時点および将来的なニーズに対応するための新たな必須事項を定義するものです。既存スタジアムの場合には、座席数の拡大、新スタンドの増築、屋根の追加、あるいは将来的な収入を見込んだ商用商業エリア、VIPエリア、スカイボックスといった新設備の拡充などが含まれることになります。基本計画書には、選手用設備(チーム更衣室など)、車両のアクセス、駐車場、スタジアムへの一般観客のアクセスなどに関する改善事項を含むこともできます。近代的スタジアム設計においては、今日のスポーツシーンには欠かせなくなっている充実したメディア用設備も一般的な検討事項の一つとなっています。基本計画書はスタジアム建設に対する総合的で協調的なアプローチを実現するものでもあり、プロジェクトの異なるさまざまな段階で生じる可能性のある問題を回避するための一助となります。例えば、夜間照明の新設やグレードアップの改良を予定しているのであれば、その計画が他の作業に支障をきたすことがないように、事前の配慮が必要になります。逆方向からの配慮も同様です。コスト管理の専門家であれば、検討されている提案された基本計画書上のあらゆる項目に関する費用を正確に査定することができるでしょう。ひとたびそれらの費用が確認されれば、クラブ/サッカー協会は続いて必要項目の優先順位を定め、作業完了までの段階ごとのスケジュールを作成しなければなりません。つまり基本計画書によって、あらゆることがきちんと組織されて、しかも予算内に収まっていることを確認した上で、プロジェクトのさまざまな局面を合理的に系統立てて進めていくことが可能になるのです。最適なスタジアム収容人数収容人数は、もちろん、スタジアム設計プロジェクトにおける最も重要な検討事項です。スタジアムは試合観戦を望む全てのファンを収容できるだけのサイズであるべきですが、見た目のインパクトと試合会場の雰囲気の面でマイナスになることから、空席が目立つような大きさであってはなりません。逆に言えば、会場の雰囲気は満員の観衆が沸くスタジアムでこそ最高潮に達します。そこで、予測される平均入場者数を正確に判断した上で収容人数を決定することが非常に重要です。最適な収容人数を割り出すための特定の手法は存在しません。クラブ/代表チームのステータスと人気、スタジアムの立地条件、他の目的での利用計画といったさまざまな要素に左右されることになるからです。試合開催日のファンにお金を使ってもらうための設備と楽しんでもらうための設備のバランスをうまく取ることは非常に重要です。うまく設計され、設備が充実しているスタジアムは多くの観客を引き寄せることができるものです。UEFAや国際サッカー連盟(FIFA)は、それぞれが行うさまざまな競技会の会場に必要最低収容人数を設けています。新スタジアムが国際大会や国際試合の開催を想定している場合には、この点も考慮に入れなければなりません。基本計画書上の各工程の内容と順序は、使える状態にある資金の額や物流上または政治的な留意点からの考慮によりおのずと決定される場合もあります。スタジアム建設の戦略的判断

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