UEFAガイド:良質なスタジアム建設の手引き
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13A:3事業計画書事業計画書により、スタジアム建設プロジェクトの財務的実行性が確認され、見込まれる収入源が明確に把握されます。他の重要書類と同様、その形式と対象領域はさまざまで、基本的にはスタジアム所有者の法的地位の違いによって異なります。所有者がサッカー協会や地元自治体のような公共団体であるのか、クラブのような民間団体であるのかという違いです。事業計画書作成前には、計画の実行可能性を調査することが望ましいでしょう。この大切な検証作業により、スタジアム・デベロッパーは技術面と財務面でのプロジェクト実行可能性を初期段階で計ることができ、それを踏まえた上でより明確なビジネス戦略を立てることが可能になります。経済的な観点から、ミラノのサン・シーロ(ACミランとインテル・ミラノのホーム)のように二つのクラブによるスタジアム共用が妥当と思われる場合もあります。ラグビーなど他競技のクラブとの共用もあり得るかもしれません。レディングFC(サッカー)とロンドン・アイリッシュ(ラグビー)が共用しているイングランドのマデイスキー・スタジアムがその一例です。共同所有または共同名義での賃貸契約によるスタジアム共用には、初期費用や運営費を折半できるという利点があります。いずれにしてもプロジェクトの実行可能性に大きな影響を及ぼし得る判断であるだけに、スタジアム共有に関する計画は、後の段階ではなくプロジェクト開始当初の時点から明確にされているべきでしょう。スタジアムの使用目的をサッカーに限定するのかどうか、他競技の試合やイベントの開催による収入増加があるのかどうかも重要な検討事項になります。事業計画書の作成にあたっては、法律分野とビジネス分野の専門家の参画が必要となります。現実的なビジネスチャンスや副収入源スタジアム建設の戦略的判断に関する入念な分析も行われなければなりません。この分析調査はスタジアムの立地条件と想定されている予算の規模に基づいて、明瞭で持続可能性のある収益獲得策を目的とすべきものです。しっかりとした営業戦略を持つことによって、スタジアム・デベロッパーの総体的な財務状態が強化され、自給自足のスタジアム運営実現が高まるのです。この時点での重要な決断にUEFAスタジアム・カテゴリーの選択があります。現在、UEFAは開催される競技会のレベルに応じてスタジアムを四つのカテゴリーに分け、カテゴリーごとに個別の水準と規則が守られることと、構造と設計に関する特定の基準が満たされることを要求しています。スタジアム・デベロッパーと管理や設計に携わるチームの構成員は、開催を見込んでいるUEFA競技会のレベルに応じてプロジェクトの目標設定が行われるよう、最新のUEFA規則に通じ、スタジアムの等級システムによる必要条件と関連事項を把握していることが重要です。スタジアム設備の種類、数量、規模といった要素は、その競技会がどのようなカテゴリーのもので、どのような規則で行われるかによるのです。UEFAの大会では、「イベント・オーバーレイ」と呼ばれる各大会ごとに一時的に適用される規定も求められます。例えば、セキュリティー・ゾーン、放送用のブロードキャスト・コンパウンド、屋根付きのホスピタリティー・エリア、スタジアム敷地内、さらに必要な場合、近隣に設けられる追加の駐車スペースなどです。

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