UEFAガイド:良質なスタジアム建設の手引き
110/160

110建設工事段階入札過程はスタジアム建設における最も重要な段階の一つです。全体的なプロジェクト費用や建設工程の成否に大きな影響を及ぼすことになりますので、的確な入札方法を選択しなければなりません。入札者への通知スタジアム建設契約の入札に関してはどのような業者にどのような方法で参加してもらうかを決める上で、数多くの要件を判断していかなければなりません。原則として、これはどの入札方式を選択する場合にもいえることですが、全ての入札参加者は経営の安定性、技術的な競争力、適切な有資格者を擁していることを実証する必要があります。現場チームの力量は非常に重要ですので、候補と目されるチームの主要メンバーへの面接が不可欠です。スタジアム建設プロジェクトには広範囲にわたる技術力と経験が求められます。従って、元請負業者や建設責任者の選定プロセスは厳格に、対象プロジェクトに特化した必要条件によって評価する必要があります。基本的な建設作業はコンクリートや鉄鋼による構造に関するものになりますので、そのような構造物を専門とする業者を、過去の建設実績がインテリア設計に偏っている業者よりも優先的に検討すべきでしょう。:1入札過程I0CM++DBTTDB:デザインビルド方式TT:従来の入札方式CM:CM方式クライアントが求める柔軟性費用リスク最善のプロジェクト発注方式の選択プロジェクトの発注は複雑なプロセスです。選択する方式はスタジアム・デベロッパーの特徴と目的に完全に依存します。規模の小さなスタジアムの場合はシンプルな入札方式を選択し、広範囲にわたる専門家や建設管理チームを必要とするような複雑な方法は避けた方がよいでしょう。入札および建設に関する各種プロセスは、大きく分けて、従来の入札方式、コンストラクション・マネージメント(CM)方式、デザインビルド方式の三つの選択肢のいずれかに区分されます。これら三つの選択肢の分析・比較には、主として費用とクライアント意思決定という二つの判断基準が利用できます。より具体的には、クライアント固有の要件、クライアントが望むコントロール権限レベル、そしてクライアントが交渉の余地を残さない固定額を最終コスト形態として求めるかどうかによって方式の選択が決まることになります。三つの選択肢を比較した図表から明らかなように、建設現場における意思決定の柔軟性に対するクライアントの要求度が高いほど費用面のリスクも高まります。逆に、現場でのクライアントによる決定権を限定すれば、一般的には、費用リスクも低下することになります。従来の入札方式従来の入札方式はスタジアム建設プロジェクトを実行する上で最も一般的な選択肢です。この方式ではクライアントがプロの設計者、建築家、技術者、その他の専門コンサルタントに接触して、スタジアムに関する一つ一つのあらゆる側面が詳細に定義された完全なプロジェクト文書を作成します。開始段階から最終的な入札要項の作成まで、クライアントがプロジェクトの全側面を監督することのできる方式です。クライアントは自分たちのニーズを建築家や技術者に正確に伝える能力を備えたプロジェクト・マネージメント・チームを内部に抱えている必要があるでしょう。クライアント、設計チームのどちらにとっても、目的はスタジアムに関する総合的で詳細な建築面および技術面の計画書によって構成された明瞭簡潔で完全な入札要項の作成です。

元のページ  ../index.html#110

このブックを見る