107建造物の保守や稼働がうまくいくかどうかは、建設が正しく堅固に行われたかどうかに直接的に依存します。建築素材、仕事の仕方、技量の全てが設計者や製造者による仕様と合致するものでなければなりません。従って、建設現場に立ち会って絶えず監督することが求められます。工事段階の最後には厳しい点検も必要です。放置されれば後々メンテナンス上の大きな問題となるかもしれない潜在的な欠陥を全て洗い出して修正しておかなければなりません。建設段階の終了時には、総合的な建物利用に関する説明書が用意され、スタジアム・デベロッパーに提出される必要があります。この説明書は一般的には以下の内容を含みます。ㅡㅡ構造、建築、機械的および電気的設備の全構成要素に関する竣工図。ㅡㅡ構成要素の想定寿命を含むメンテナンスおよび清掃に関する説明書。ㅡㅡ特別な点検から定期/年次点検まで、スタジアムの主要構成要素および施設に関して推奨される点検および検査の期間ㅡㅡスタジアム運営の全側面に関する手段および手順の詳細を含む関連する全ての安全・衛生対策欧州内の多くの地域では、必要となる建造物使用許可証を取得する際の法的な前提条件として、建造物利用に関する説明書が求められることがあります。スタジアム・デベロッパーが、大勢の人々に利用される公共の建造物を適切に維持する法的な注意義務を負っていることを理解していることが大切です。これは新設されたスタジアムにも改修されたスタジアムにも当てはまります。メンテナンス、修理、清掃に関する必要事項とシステムが、施設マネージャーの管轄下で作業に当たる有能でしっかりと訓練された職員で構成されたチームによって、的確に理解され、適切に計画され、文書化され、適用され、そして実施されることが必要不可欠です。清掃とメンテナンスに関する全ての手順は、関連のメンテナンス説明書と指示書に記されている必要な安全・衛生面の指示に沿って行われる必要があります。これらは「生きた」文書として理解されるべきもので、スタジアムの寿命全体を通じて改訂、編集される必要があり、新たな修理、改修、改良作業の詳細が将来的な対応と共に記されなければなりません。この作業は慎重で、積極的で安全性への意識が強く、問題点の特定はもちろんのこと、事前に察知し対応もできる運営チームやスタッフによって行われる必要があります。観客やスタッフに対する潜在的なリスクを最小限に抑えることを目的として、試合前、試合中、そして試合後に毎回、詳細な点検や検査が行われなければなりません。検査はスタジアム運営、構造の全側面を対象として行われるべきであり、次の各項目を含みます。:3:4建設工事段階稼働開始後HHㅡㅡ防火システムㅡㅡスタジアム運営および通信システムㅡㅡ非常電源システムㅡㅡ構造上の健全性(破損や腐食の確認)ㅡㅡ全てのアクセス経路およびコンコース・エリアㅡㅡ全ての衛生設備検査は全ての構成要素、エリアが利用目的に適した状態にあり、外見上も高い水準が保たれていることを確認するためのものでもあります。最終的に、優れたメンテナンスと清掃の実現は必要とされる資源を提供できるかどうかにかかっています。建物自体が持つ資源(特別な器具や収納設備)と内部運営コストをカバーすると同時に、必要に応じて外部から専門業者を雇う予算という資源です。スタジアムの基本メンテナンス
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