UEFAガイド:良質なスタジアム建設の手引き
10/160

10スタジアム建設の戦略的判断スタジアム・デベロッパースタジアム・デベロッパーの本質と要点本ガイドでいう「スタジアム・デベロッパー」とは、スタジアム建設プロジェクトの立ち上げ自体に責任を負う組織を指しています。クラブや民間団体(投資家やスポンサー)の他、当該国におけるサッカー協会、地元の行政、あるいはその国の政府が該当する場合もあるでしょう。スタジアム・デベロッパーは、自らの要求、目的、そして優先事項を把握していなければなりません。それらはスタジアムの公有(国立スタジアムなど)と私有の別に左右されることもあります。後者の場合にはビジネス面の比重が非常に高くなります。スポーツ面とビジネス面の適切なバランスを実現するには慎重で入念な分析が必要です。新スタジアムの建設が、クラブやサッカー協会にとって歴史的な重要性を持つ事業であることは言うまでもありません。サッカー協会がスタジアム・デベロッパーであれば、それは文字どおり国の威信を懸けたプロジェクトだといえるものです。いかなるプロジェクトでも開始当初の判断が最終的な成否に大きな影響を及ぼします。特定の役割や責任の分担を決める際には細心の注意を払わなければなりません。プロジェクトに関わる全員が、ニーズ、目標、そして限度を正確に把握していることが非常に重要です。業務を委託することになった特定分野のコンサルタントや業者に対しては、プロジェクトの各工程が極力高い水準で、スケジュールに沿って予算内で進行するよう注意を払う必要があります。スタジアムは、その一つ一つが独自の建設事例です。それぞれに現時点と将来における個別のニーズが存在するというだけでなく、固有の歴史、伝統、そして本拠地となる地元コミュニティーも、スタジアムの在り方に影響を与えることになるからです。設計段階から、そういった全ての事柄を考慮することがポイントになります。主要人員最初に、全体的な責任を持ってプロジェクトを発足から完了まで導くことのできる「プロジェクト・ダイレクター」を任命することが望ましいでしょう。ダイレクターはスタジアム・デベロッパーが完全なる信頼を置くことができ、自らの代わりとして、プロジェクト全体を通して権限を振るう役割を安心して進んで任せられる人物でなければなりません。その人物には多くの内部スタッフと外部のコンサルタントや業者を管理する能力も求められます。プロジェクト・ダイレクターの決定をチェックし承認する運営委員会を設置してもよいでしょう。その他、「財務ダイレクター」と「ビジネス・ダイレクター」を任命することも重要です。この両ダイレクターが共同で出費、予算、そして基本活動(チケットやグッズの売り上げなど)による収入とその他(スポンサー料や施設使用料など)の収入源を管理することになります。組織や運営体系に応じて、設備の管理、運営、メンテナンスのために「スタジアム・マネージャー」(小規模の場合には設備マネージャー)が必要な場合もあります。プロジェクトチームの主要な人員が決まり、各自の役割と責任範囲が明確になれば、次は外部コンサルタント(建築家、エンジニア、金融専門家など)の任命、続いて建設業者の指名となります。右図表に組織構成の一例を示します。役員会運営委員会プロジェクト・ダイレクタースタジアム・プロジェクト組織内部プロジェクトチームプロジェクトチーム営業、設備、クラブ、財務外部コンサルタントプロジェクト管理、弁護士、金融A:1

元のページ  ../index.html#10

このブックを見る