J.LEAGUE SEASON REVIEW 2024
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IILISUSTANABTY-先ほどの話にもありましたけど「推し」というのは強いですよね。吉村 「推し」というと、女性が楽しんでいるイメージを持たれる方も多いかと思います。でもBeサポ!では「○○さん応援リーダーです」と言われて、張り切って施設のみんなにサッカーのルールを教える男性の方がいたり、「○○さんがグッズ担当です」「旗をもってください」など役割ができたりします。「じゃあここを任せるね」ということさえあれば責任を持ってやってくれる人がたくさんいます。それも「推し」ができることの効果かもしれませんよね。そこをどうサポートするかというのが私たちの考えるところかなと思います。青山 フラッグベアラーをやるから練習したおじいちゃんもいましたね。吉村 片足が義足でペースメーカーもしていて、それでも「フラッグベアラーやりませんか」と施設の職員から言われて、「みんながやるならやろうか」と。やらされるリハビリではなくて、職員が気づいたら“コツコツ”とそのおじいちゃんが歩いているとか。Beサポ!を通じて、その人自身の可能性に職員さんも気づけるし、「あんなに○○さんが頑張ってくれているなら次はこうしよう」とか、お互いに対する思いが循環し始めると関係性も次第に良くなるということを感じますね。-この試合で旗を持ってもらうから歩くんだよ、というのが後押しになっていますね。吉村 サッカーの応援というのが上の世代の方にとってはあまり日常的な風景ではないかもしれません。サッカーの応援が初めての職員さんも利用者さんと一緒に同じ目標に向けて頑張れるというところで仲間になれる、と聞くことが多いです。サポーターになることがすごく簡単で、ハードルが高くないからみんなが同じ方向を向いて楽しめるのかなと。元々Jリーグが持っている“サポーター”というカルチャーがあったから、スタジアムのサポーターの人も近寄ってきてくれるし、Be supporters!にとっても良い影響があるのかなと思います。-「うちにもあったらいいのに」という声も聞くので、その広がりを感じています。青山 施設の皆さんが本当に楽しみにしていて、早い段階で「今年はどうなっていますか」とクラブに問い合わせがあるというのを聞きますし、エールを集めて飾るというのが一つのメインですが、それに伴ってクラブ独自のスタジアムでのアクティビティも多彩になりました。やはり来られる方がいるとうれしいし、選手の事前訪問によってより親しみを持って応援に身が入るというか、喜びにつながるみたいな、そういう良い循環が徐々に増えているという感じです。吉村 107歳のおばあちゃんが「命尽きるときまでサッカーを楽しみなさい」というエールを送ったり、頑張れというのも本当は「○○して○○して頑張れ」と書きたいけど、どうしても手が震えて書けないから手形でやってみようとしたり。施設を訪問した選手がおばあちゃんの手にペンキを塗っていて、その写真がとてもかわいいんですよ。クラブの担当の方が、どうしたらできるんだろうと考えた結果、そこで生まれているわくわく感とかつながりが見ていて心温まるというか。すごく良いなというのはありますね。-クラブの担当者も純粋に向き合っているのですね。このプロジェクトを通して実現したい未来の姿、次のチャレンジなどありますか。吉村 もちろん、もっと全国のさまざまな地域とか、今まで取り組んできた地域でももっといろいろな人に参加してもらいたいです。今は施設とクラブだけ、まだまだ多くの方と活動を盛り上げていける可能性を秘めていると思います。もっと地域の人を呼び込むとか、引きこもりがちの独居の人や孤立を感じている人たちをうまくエールで巻き込めないかとか、なかなか一歩を踏み出せない方々を巻き込んで、さらに豊かなつながりを作り、一緒に参加してもらえる場所ができたら良いなと思っています。84写真提供:清水エスパルス写真提供:清水エスパルス

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