■■■■■■■■■■■■■■■■■■■寺 門 「デュエルの勝率自体は上がりましたが、まだ75分以降の勝率は下がり幅こそ小さくなったものの下がっていました。優勝したアルゼンチンのような強豪国は終盤でデュエルの勝率を上げています。そこが日本にまだ足りない部分であり、世界との差ではないでしょうか」寺 門 「ロシアワールドカップの後にも出ましたが、ボールを保持し寺 門 「今までの流れがあるので、それは引き続き見ていければと思中 下 「このチームが『勝ち筋を見出せる良い状態は806㎡程度』という感覚をスタイルとして共有していることは間違いありません。でも、もっと大切なことは、それが例えば1000㎡に広がって間延びしたような状況になったとしても、個々の力で上回って勝つことです。積極的にゴールに向かう、ゴールに戻るという個々のハイレベルな日常を繰り返していくことが大切だと思います」片 桐 「日本では守備時はコンパクトにサッカーをすることが重要だという認識が広がりましたが、これからは状況ごとに見ていく必要があります。例えば、海外の強豪クラブはそれほどコンパクトではない場合も多く、それは一人ひとりの守備範囲の広さと関係しているのかもしれません。1人の選手の守備範囲はフィジカルの能力や予測力など様々な要素によりますが、これまで縦20〜25mを基準としていたコンパクトネスを30mに広げても勝てるような日本のチームが出てくれば、日本サッカーはもっと強くなるのではないでしょうか。コンパクトに戦う強みを持ちながら、たとえ間合いが広がっても勝てるようになった時には、また違った日本サッカーの姿が見られるはずです」片 桐 「まず感じたのが先ほど少し触れましたが、シティやバイエル中 下 「先ほど片桐が個々の守備範囲について語っていましたが、そのテーマで言うとシティのCBが前に上がって、後ろで3対3とか、FWと1対1というリスクのある状況を作ってでも前から奪いに行く、というやり方が印象的でした。個々の能力が高い選手たちだからできるやり方なのかもしれませんが、『1人で守れる』という自信があるから、CBを前に上げるという発想に繋がっているようにも感じます」越 智 「あとは個々の状況判断ですよね。例えば、シティのアンカーを務めるロドリが前に行った時にプレッシングで踏み止まったシーンがありました。無駄に行き過ぎない判断力も、間延びしがちな後半の最後の時間帯で『行く・行かない』を効率的に行えることに繋がっているように思いました。逆に横浜FMは、ボランチが相手のスライドに全部ついて行って、間に合わないところを突かれて失点しました。90分のどこで仕留めるのかという勝負所を見極める目は大事になってくると思います」片 桐 「この3試合でも戦術面はもちろんですが、欧州のトップ選手たちの判断の速さや予測、プレーの質といった個々の力を見せつけられた部分はありました。チーム戦術を成し遂げるためには個人の質の高さが重要です。そこに対しても両軸でフォーカスしていく必要があります」ワンタッチによるレイオフ、GK+1ビルドアップのディテールに違いンはそれほどコンパクトではないということです」――― 「コンパクトネス」自体が「ハイプレスの運用」を目的にした指標ですし、ドイツ戦やスペイン戦での後半のギアチェンジ戦術もその流れで考えれば、長い準備の末に勝ち取った成果と言えますね。ちなみに、ロシアワールドカップでの課題であった60分以降のデュエル勝率低下は、カタールワールドカップで改善されましたか?――― 2026年の北米ワールドカップに向けて重視していくことは何でしょうか?て試合をコントロールできる時間を増やしていくという点です。スペイン戦では2:8、ドイツ戦では3:7の支配率で相手にボールを握られる時間が多くなりました。スプリントやトラッキングのデータを見ると、日本の走行距離やスプリント数はかなり多くなっていましたが、特に前線の選手が守備に追われる割合が高かったですね。そのスプリントを攻撃で使えるようにするために、ボールを握りながらより相手のゴールに素早く近づく方法、ゴール前の脅威を保ちながらそこにボールを届ける方法を模索している最中です」――― 「インテンシティ」と「コンパクトネス」という指標は今後も用いていくんですよね?います」――― そうした日本サッカーの流れを踏まえた上で、横浜F・マリノス対マンチェスター・シティ、FCバイエルン・ミュンヘン対マンチェスター・シティ、川崎フロンターレ対FCバイエルン・ミュンヘンの3試合を見た感想を伺ってもいいでしょうか?――― 「コンパクトネス」はプレーエリアを圧縮することで運動量を効率化する試みですが、個々の判断でさらに効率化できるということですよね。――― 横浜FMとシティは大枠としては似たサッカーをやっています。前
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