■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ロドリのミドルシュートの連続写真。キックモーションの初動はインステップキックのように正面方向から蹴り出しているが、インパクトの瞬間に急激に股関節が外旋してインサイドキックに変化している2023年東京大学卒業。スポーツバイオメカニクス研究室にてインサイドキックを研究した。在学中にキック専門トレーニングKicking lab を創業。小学生からJリーガーまで幅広い層を指導し、2023年4月には書籍も出版した。続いて、股関節外旋角速度について先ほ大腿骨の長軸周りの慣性モーメントを、股関節外旋トルクをとすると、回転運動のが成り立つ。よっこれはフィジカル的な要素に寄ったポイより同じ大きさのトルクを加また、膝関節屈曲90°付近ですでに股関節外旋角速度が生じ、インパクトの瞬間に大きな股関節外旋角速度を実現したいのであれば、股関節を大きく外旋させるためのゆとりを確保するために膝蓋骨=膝のお皿の向きが蹴り出し方向に対して外側を向かないようにスイング動作に入る必要がある。ゆえに、2つ目のポイントは、キック動作の初動段階ではインステップキックと同じく膝蓋骨の向きを蹴り出し方向に向けることである。以上の2点、「膝を大きく屈曲する」「膝蓋骨の向きを蹴り出し方向に向ける」というポイントを抑えるとインステップとほぼ同じ動作になる。実際にロドリのキックは途中まで抜き取るとインステップかインサイドかを見極めるのは難しい(1と2参照)。このようにインステップキックと同様の動作から途轍もない速さで股関節を外旋させ、蹴り足を最大限加速できるのがロドリのインサイドキックの独自性であるが、実はここで解説したようにインステップキックと同様の動作を取ること自体が股関節外旋角速度を高めることに繋がっているというのが技術的に重要なポイントである。■■■■■■■■■■■■■■■■■田所剛之1234点は蹴り脚を後ろに振り上げず、むしろ膝を前に素早く持っていくこと。これはスプリント動作にも見られる動きであるが、膝を前に持っていく股関節屈曲の動きは膝関節の屈曲を誘導する。この関係性を用いて膝関節を屈曲→伸展させると効率良くエネルギーが伝達されるが、自ら蹴り足を後ろ方向に振り上げるような動きを用いるとエネルギー効率が落ちてしまうので注意が必要である。どと同様のモデルで考える。運動方程式よりて、を大きくする最も単純な方法として股関節外旋トルクを大きくすることが挙げられる。股関節外旋トルクとは関節を回転させる力なので、この値を大きくする最も単純なアプローチは筋力を上げることである。ントだが、もう1つ技術的な要素が存在する。ここで注意すべきはインサイドキックでは股関節外旋と膝関節伸展が同時に起こることから慣性モーメントが時間的に変化することだ。下腿を一様な剛体棒と見ると慣性モーメントは中心軸からの距離の二乗に比例するので、はに比例することになる。えた場合でもインパクトの瞬間と股関節外旋トルクを発揮している間との慣性モーメントの差が大きいほどインパクト瞬間の股関節外旋角速度は大きくなることがわかる。よって、が最大になる膝関節屈曲角度90°で股関節外旋角速度が生み出されていることが望ましいと言え、そもそも膝関節屈曲の最大値は90°以上になる必要がある。この点からも1つ目のポイントとして挙げた膝関節の最大屈曲角度を大きくすることが有効であると言える。
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