バイエルン川崎F■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■254 秒25川崎F■■7.7%48%4.0%バイエルン2人9%(1)3人0%(0)0人45%(5)1人45%(5)3人36%(5)FW-MF間MF-DF間時 間583 秒回 数521461381181030人29%(4)1人14%(2)2人21%(3)DF裏成功率40%被シュート率28.919.520.53.6次にミドルプレス以下の精度について考えてみたい。図8はアタッキングサードで記録されたパスのうち、FW、MF、DFの3ラインを基準にブロック内でのパス受け数を90分換算した図である。これによってわかることは、バイエルンは川崎FのMF-DFライン間に相対的にあまり多くパスを差し込めていないものの、最終ラインの裏と、MFの手前(FW-MF間)にはボールをよく配給できていたことであり、すなわち川崎FのFWラインが下がらされたこと、にもかかわらずDF裏のスペースを突かれていることが読み取れる。マンツーマンでバイエルンのボランチを監視できていたハイプレス時と対照的に、ミドルプレス以下では相手のボランチにストレスがほぼかかっていなかった。最終ライン裏への配給が多いのは、バイエルンの選手の裏抜けが多いこともあるが、川崎Fの最終ラインがプレッシャーがかかっていないのに下げずに保っていたことも影響しているかもしれない。以上から想定できるのは、最終ラインのカバーリングに代表されるような、人へのプレッシャーを高め過ぎることによるスペースを守る意識の低下と、ミドルプレス以下でのプレッシャーの甘さという、一見すると矛盾する2つの課題である。この問題の本質はマンツーマンとゾーンという、優先順位が真逆のアプローチを局面によって使い分ける部分が整備されていないことにあると言え、それにより守備ブロック全体としての精度が下がっているように見受けられた。ハーフコートすべてのスペースが制圧対象となるハイプレスではゾーンよりもマンツーマンの比重が高まるものの、それを突破されればゾーンを組んで撤退する、というのが標準となりつつある欧州の現代フットボールに追いつく上で、両者の境目やチームとして統率の取れた意思決定が下されているかは、日本サッカーの大きな課題になっていくのかもしれない。保持時のゲーム支配力、非保持時のブロック守備の精度という、日本サッカーの課題を垣間見ることのできた試合展開だった。プレシーズンマッチという、バイエルンからすれば「調整」の位置づけの試合であったとしても、高いクオリティを目の前にすると、良くも悪くも「日本らしさ」が出てくるのかもしれない。日本サッカーの良さという面では、数的不利でのドリブルやコンビネーションによる打開力、基準点がはっきりした時の個人単位で見たプレスの勢いなど、この試合の川崎Fは部分的にはバイエルンとも渡り合える強みを見せたと言える。日本がスペインのような保持を基調とした特定の局面に特化したチームになるべきかという論争は永遠に尽きないが、1つ言えるのは様々な事象がシームレスに入れ替わり、それに迅速かつ柔軟に対応する必要のある現代サッカーにおいて、「保持時のゲーム支配力」や「非保持時のブロック守備の精度」は必須であり、それらが足りないことによる戦術的な幅のなさは致命的になり得るということである。仮に相手が格上であったとしても、時にゲームを落ち着かせ、均衡状態を作りにいこうとする姿勢、それを可能にするメソッドの策定やフィジカル能力の向上は急務と言えそうだ。表5 ハイプレスの時間・回数・成功率および被シュート率川崎Fバイエルン図6 PPDA(低いほどハイプレスの強度が高い)図7 ロングボールに前向きに対応した最終ラインの人数図8 アタッキングサードにおけるブロック内でのパス受け数(90分換算)問題の本質は、局面によるマンツーマンとゾーンの使い分け[まとめ]■■■■■■KAWASAKI FRONTALE vs FC BAYERN MUNICH川崎Fバイエルン11111414333..666 vvvss 2200...55DF裏のパス受け数(90分換算)
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