■■■■■■■■■■■■■■■■■ ■シティとの共通点は「バリエーションをもたらすCF」37分にはビルドアップからボールを収めて両SBが駆け上がる時間を創出。永戸勝也のクロスを松原健が流し込んだ追加点の起点ともなったA.ロペスには、マークを担当したアカンジも試合後に「僕たちはオフ明け最初の試合で、いつものようなコンディションではなかったから通常時と比較するのは難しい」と前置きしながらも、「彼は素晴らしいパフォーマンスを見せていた。DFラインは非常に苦しめられたよ。難しい対応を強いられてゴールも決められたからね。非常に優れたストライカーだ」と称賛を送っている。グアルディオラも「カイル(ウォーカー)を抜くなんて」と驚いた左ウイングのエウベルを含め、「ストライカーとウインガーはとても速く、優れたプレーをしていた」と横浜FMが誇る前線のクオリティに舌を巻いていた。3冠王者に実力を認めさせたブラジル出身の助っ人たち。「ロペスだったりエウベルだったりヤン(マテウス)だったり、強力な選手と練習できる環境はそろっている。彼らとマッチアップすることで個の能力をもっと伸ばしていきたい」とハーランドとも対峙した途中出場の上島拓巳が意気込むように、彼らは日頃からトレーニングを積む中でチームメイトに、そして試合で対戦する中で相手選手にレベルアップを促してくれるに違わず、ひいてはJ1リーグが世界との差を縮めていくためにも外国籍選手の存在は必要不可欠だ。アジアから南米まで世界中にスカウト網を張り巡らせ、50万人もの選手をデータベース化するCFGも支えている横浜FMの補強戦略は、今後もリーグ全体に影響を及ぼすと言っても過言ではないだろう。そのアルバレスの得点で前半のうちに2-2に追いつかれたものの、逆に横浜FMが1対1の駆け引きを制してマンチェスター・シティのゴールを脅かす場面も少なくなかった。象徴的なのが先制した27分の得点だ。自陣中間に下がって右CBの畠中槙之輔から縦パスを引き出したCFのアンデルソン ロペスは、ワンタッチで右ウイングの水沼宏太へフリック。ボールを触る前から食いついてきたマヌエル アカンジの背後を確認していたA.ロペスは、素早く反転してその広大なスペースへ抜け出すと水沼からリターンを受けて一気に敵陣ペナルティエリア手前へ。追走するアカンジを跨ぎも入れた独特なリズムの仕掛けで再び振り切り、自ら打ったシュートのこぼれ球を押し込んだ。「横浜FMに見られるもう1つのマンチェスター・シティとの共通点は、アーリング ハーランドのようにフィジカルに長けて動き出しやゴールでバリエーションをもたらせるストライカーを擁している点です。実際にA.ロペスはマンチェスター・シティに多くの問題を引き起こしていました。185cmあるサイズとフィジカルも生かしてピッチの至るところで存在感を発揮しながら降りてプレーの基準点になれると同時に、速さと強さを生かしてDFに1対1を挑むのも得意としています。前半の彼は非常に素晴らしく、横浜FMはそのパフォーマンスからゴールとチャンスを生み出しました。あらゆるDFに挑戦状を叩きつけられる非常に優れた選手ですね」(レア氏)最後にレア氏の横浜FMに対する総評を紹介して本稿を締めくくりたい。「横浜FMがプレミアリーグクラブやCL出場クラブから遠く離れたレベルにあるとは考えていません。現時点で世界最高のチームと呼べるマンチェスター・シティを相手に披露したそのパフォーマンスを見れば一目瞭然で、拮抗した試合でした。横浜FMはプレースタイルや技術力、戦術的柔軟性から鑑みても、世界に通用するはずです。そのトップレベルとの違いを強いて挙げるとすればマンチェスター・シティ戦でも勝敗を分けたような選手層の厚さと個々の質ですが、先に行われたセルティック戦(○6-4)も含めて印象的な結果と内容を披露してくれたことは自信となるに違いありません」
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