一方、サッカーはグローバルスポーツですから、Jリーグを見てくださる人は国内ばかりではありません。タイのスター選手であるチャナティップ選手が北海道コンサドーレ札幌に加入して以降、タイ国民の2人に1人がJリーグに関心を寄せていただいています。例えば、チャナティップ選手のトレーニング動画には、人口200万人の札幌市をも上回る、320万回もタイからアクセスがありました。海外にもJリーグのことを注目してくださる方は確実にいます。Jリーグは「アジア・世界」というフィールドでの放映機会の拡大も着実に行ってまいります。 Jリーグには、地域を核として豊かなスポーツ文化を育むという不変の理念があります。少子高齢化と人口減少に伴う地方に対する悲観的な見方も多いですがGDPの約6割超が地方から生み出されていることに鑑みると、地域こそ日本の活力ともいえます。27年かけて8都府県10クラブから39都道府県55クラブへとJリーグの理念への共感が広まっていることが、何よりも地域の底力を物語っています。スポーツが成長産業となれば、地方の生み出すGDPが上向くことも夢ではありません。 私たちは2030年に目指す姿として、全国にあるJ1の18クラブの、306ある全ての試合が満員になることを目指します。平均入場者24,000人にお越しいただくと、スタジアムがちょうど8割ほど埋まる計算になります。残り2割は、運営設備やメディアなどが使いますから、平均入場者数24,000人が満員の具体的な目標数値となります。 しかしながら、これらは単なる営業目標ではありません。実現できた先に、Jクラブは、20,000から30,000人くらいビジョンの先にのエリアサイズで、豊かな地域コミュニティーを共に育む仲間を持つことができます。週末になると町に人があふれ、アウェイから多くの方が交流に訪れ、食べ物や生活文化を知り合うことができる豊かな文化を、一人でも多くの方に届けたいと思います。さらに、グローバルスポーツのサッカーは、観光資源にもなりえます。来年は日本でオリンピックとパラリンピックが開催されますが、大会が終わった後も、海外の人に日本に親しんでいただくために、スポーツツーリズムを通じた地域のさまざまな魅力を楽しんでいただける環境を築いていきたいです。Jリーグ全体の持続性は地方活性と一蓮托生です。まずは直近3年をかけて、先ほどお話した成長エンジンを構築し、よどみなく回すことを全身全霊をもって取り組んでまいります。 最後に、今シーズンもJリーグを支えてくださった全ての方へ、心から感謝申し上げます。来シーズンも、スタジアムでお会いしましょう。COMMENTSCHAIRMAN COMMENT87
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