2019
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うなダイレクトにフットボールに関わる収入と、もう一つはチケットや物販、スポンサー等、フットボールを介して得る収入が挙げられます。フットボールクラブとして、当然前者はとても大切なものですが、賞金や移籍金に依存し過ぎるのはクラブ経営上非常に不安定なので、後者でどのくらい安定的に黒字を出せるか、という点がクラブを持続的に成長させるうえでは大切です。アントラーズは日本を代表するチームでもあるので、地元に愛されつつも、日本全国のサポーターにも喜んで頂けるよう、オンラインサービスやVR(バーチャルリアリティー)等を活用し、スタジアムへ来なくてもリッチなショー体験ができ、マネタイズとしてクラブの収益が上がる、というような施策も積極的に実施していきたいと思っています。もう一つは、ノンフットボール事業としての、街づくりを通じたマーケットの創出です。具体的にはテクノロジーを活用し、クラブと共にホームタウン全体が発展していくイメージです。例えば自動運転やライドシェア等のモビリティー改革を行なうことにより、地域の課題解決を図り街が活性化し、スタジアムへのアクセスが快適になることにより結果として、観客が増えて収入が増加したり、新しいビジネスを鹿島アントラーズが全国に展開する、といった循環を創りたいと考えています。フットボールとノンフットボールの両軸のバランスを考慮しながら、投資判断をしていきたいと思っています。■ クラブをスポンサードしていく中で、特に重要視していた点を教えていただけますか。小泉:とにかくスタジアムやクラブハウスに足を運び、そのクラブが持っている顕在的もしくは潜在的な価値を、関わっている人も含めて理解しようとすることですね。現場に足を運ばないと、何も知れないし見えてきません。直接見聞きしたり肌で感じたりし続ける過程で、磨けば光るものが見えてきて、ビジブルになっていったりします。そのきっかけがスポンサーシップであり、冠試合の協賛だと思います。試合に行けば、何ができていて何が伸びしろかが見えてきます。金額以上にしっかり時間を費やすということが大事ではないでしょうか。おそらくクラブ側から見ても、安心感につながるのではないかと感じています。■ 経営者としてアントラーズをどのような存在にしていきたいとお考えですか。小泉:Jリーグはじめ、スポーツエンターテインメントの価値は未来に向かって将来的に上がっていくでしょう。なぜならAI等のテクノロジーにより仕事が効率化され、余暇が増えていくと予想されるからです。スポーツは、その新しく生まれた時間を豊かにする上で、非常に大きなコンテンツとなるポテンシャルを秘めています。ある意味、日本が持っている数少ない伸びるかもしれない産業であることは間MANAGEMENT STRATEGY事業強化・経営基盤75

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