2019
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スポーツは、非常に大きな可能性を秘めています。進化をまとう新たなクラブ経営の姿事業強化・経営基盤umiaki KoizumiInterview1980年生まれ、山梨県出身。早稲田大学商学部卒業後、大和証券SMBCやミクシィなどを経て、2013年12月にメルカリに参画。2017年に取締役社長兼COO。現在は会長職に就き、ことし7月のメルカリによる鹿島の経営権取得後、同8月より現職。小泉文明株式会社鹿島アントラーズ・エフ・シー代表取締役社長Jリーグの名門、鹿島アントラーズが、さらなる飛躍の一歩を踏み出した。2019年7月30日、JFAハウスにて、鹿島アントラーズと主要株主である日本製鉄株式会社、フリマアプリ「メルカリ」を運営する株式会社メルカリ(以下、メルカリ)が共同記者会見を開催。メルカリが日本製鉄の保有する株式の大半を取得し、鹿島の経営権を獲得する契約を結んだことを発表した。さらに8月30日には、メルカリの小泉文明取締役社長兼COO(当時)が鹿島アントラーズの代表取締役社長に就任した。自身も開幕当時からの生粋のアントラーズファンである小泉氏が、メルカリを始め数々のテクノロジーベンチャーの起業経験を携え、常勝軍団アントラーズと地域の発展を見据えて描く構想とは―。■ 今回の経営権取得は双方にとってどのようなメリットだったのでしょうか。小泉:アントラーズとメルカリは約2年半前にクラブスポンサーから関係をスタートしました。その過程で、アントラーズにとっては地域を核としたプロフットボールクラブとしての成長が、メルカリにとっては利益向上が実現できると見込めると判断し、経営権を取得するに至りました。初めから経営権の取得が目的だったかと問われると決してそうではないのですが、クラブスポンサーとして約2年半といういわゆる交際期間を経て、互いに一層の相乗効果を発揮するために理想的な関係とは何か、という問いを常にもって関係性を続けてきました。例えば、アントラーズのホームゲームをメルカリが協賛し、冠試合として関わることなどを通じて具体的な可能性を発見していきました。経営権を取得した目的はいくつかありますが、一つは顧客層の拡大です。フットボールクラブの主要顧客は30~40代の男性であるのに対し、メルカリは20~30代の女性が多いので、相互の顧客拡大に働く可能性を感じました。また、メルカリの更なる成長のため、アントラーズの強いブランド力を必要としたことも一つの要因です。さらに、前述のスポンサードの過程で、クラブ運営の側面で具体的な改善提案等をさせて頂く中、両者の中で、チームはフットボールの強化に集中し、ビジネスはメルカリの強みを生かして進めていくと役割を分担した方が、今後アントラーズがプロスポーツクラブとして成長していくためによいのではないかとの考えに至り、今回の経営権取得の実現に至りました。■ どのような形で収益を上げていくイメージをお持ちでしょうか。小泉:クラブの収入は大きく分けて二つあると考えています。1つは、フットボールに関わる収入で、賞金・移籍金のよ74

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