2019
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©Y.S.C.C.チャ オシムさんやパトリック エムボマさんへ、今年の主旨とともにメッセージを依頼したところ、快く引き受けていただきました。彼らから、特にサッカーを通じた「平和」や「貧困からの豊かさ」というテーマでメッセージをいただき、それらをスペシャルマッチのテーマとしたんです。■ SDGsを掲げるサッカー大会はJクラブでも珍しいと思いますが、具体的にどんなことに挑戦されたのですか。「平和」と「貧困からの豊かさ」をみんなで学び合える企画という視点で、「平和」のテーマでは、うちのクラブには、アフリカのマラウイ共和国出身の選手がいるので、彼の知り合いに声をかけてもらったりしてメンバーを集めました。最終的にガーナ、ナイジェリア、ペルー、中国、韓国など、日本に滞在している外国籍の方がたくさん来てくださって、うちの選手たちも加わって多国籍でサッカーをやりました。試合中にアフリカの民族楽器ジェンベによる演奏も加わり、大変にぎわいました。「貧困から豊かさへ」のテーマでは、日頃から交流のある寿町の就労福祉センターで働くスタッフと、不登校児向けの支援活動を行う職員らを集めてサッカーをしました。難しいことを言わなくても、ボール一つで熱を共有すれば、小学生でもSDGsがわかるんですよね。イベントにはトップの選手たちも参加しますが、選手らはアイスバケツチャレンジのように、Tシャツに17個の目標を1日一つずつ書いてそれにまつわるメッセージを送るカウントダウンもやってみました。■ なかなか普通はできません。どうしてそこまでできるのですか。サッカーに限らず自分がやっているスポーツは誇らしいと思いたいですよね。そうしたときに、サッカーをつかって若者や子どもたちのためになることをしたいと思うのは自然なことです。子どもたちの心を豊かにするために、得意なものがたまたまサッカーなだけで、子どもたちが成長するためであればなんでもいいんです。私たちのすべての活動は、地域の許可を得て初めて営むことができます。グラウンドも、施設を借りてクラブを運営できるのも、全て許可をいただくからできる。樹木希林さんもおっしゃっていましたが、身近にあるものはすべて預かりものです。だからこそ、ご恩をお返ししたい、という思いが常にあります。サッカーで稼いで御殿を建てるのも素晴らしいですが、私たちは誰かの喜びや笑顔など、次につながるような活動をやりたいんです。例えば、簡易宿泊所が多い寿町の生活支援センターで口腔ケアの講座を開いていますが、私たちがそれをやるロジックは、シンプルです。健康のためには、食事と歯の健康と運動が必要です。じゃあ、スポーツクラブのうちは何ができるか?と考えたら、運動を中心に、歯の健康講座などに関連するプログラムを提供すること。クラブのメディカルスタッフなど専門家と共同でカリキュラムも立てました。SDGsは国連の説明では2030年までとなっていますが、一つ一つをみていくと、これはもう永遠の課題です。私たちは粛々と取組を継続MANAGEMENT STRATEGY社会連携47

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