2019
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▶ スポーツ界をけん引できるよう「スポーツ団体ガバナンス・コード」も踏まえ、引き続き多様性の確保、アカウンタビリティー強化、各種体制/統制の構築・改善を続けていく▶ 適切なガバナンスの構築に向けて1.理事の多様性確保とアカウンタビリティー強化理事会は、Jリーグの運営に関する権限を行使する機関であり、チェアマン1人、業務執行理事4人、クラブ系理事7人、社外理事3人、日本サッカー協会(JFA)系理事2人、監事2人、特任理事5人で構成されている。24人中、女性は4人で、社外理事および特任理事も含め、サッカー界以外からも人材を招へいし、多様性を維持するよう努めている。また、社会規範から逸脱した行為がなされないよう、重要案件の理事会決議事項を明確に定めることで、業務執行に関しても透明性を重視し、説明責任を果たすような仕組みを設けている。理事会終了後は定例会見を実施することで、クラブの経営情報開示を進め、「天日干し」を合言葉に、アカウンタビリティー強化にも努めている。また、Jリーグサーベイなどを通じて、Jリーグを取り巻く関係者からのフィードバックを入手する仕組みも構築してきた。2.内部統制強化① 内部監査室の設置監督機能として、監事による業務監査および会計監査、外部の監査法人による会計監査などがあるが、昨今のスポーツ界を取り巻く環境に対し、自らガバナンスを強化していくことを率先して行うべく内部監査室を新設した。現場レベルも含めて組織全体として適正な業務遂行がなされているか、内部統制が機能しているかなど、監事とも連携し、透明性の高い適正な業務遂行が行われるよう、さらなるコンプライアンス強化に取り組んでいく。② クラブライセンス制度  人事担当(ヒューマンオフィサー)の設置近年の日本社会全体のテーマの一つである働き方改革について、Jクラブでも労働環境の改善などに責任もって対応する担当者が必要であることから基準化した。3.コンプライアンス事案の体制・対応コンプライアンス事案に関しては、リーグ内にも各クラブにも正・副コンプライアンスオフィサーを設け、事案発生時の体制を整備している。また社内外にホットラインを設置し、JFAの暴力等根絶相談窓口などと連携している。発生事案については、コンプライアンス室を中心に、チェアマンおよび正・副のコンプライアンスオフィサーが対応を検討する。現状は内部監査等、不正防止・発見機能を備えた適切なガバナンスといえる。特に外部者の関与を積極的に求めるとともに「天日干し」の説明姿勢により閉鎖性を打破した点が素晴らしい。一方、内部人材に対する投資は現状を良しとせず積極的に取り組むことが望まれる。スポーツ業界全体に管理運営人材への投資意欲が薄く、ガバナンスの担い手が不足する傾向があるが、それでは持続的な発展は望めない。業界の先鞭をつけJリーグ百年構想を支えうる人材育成を期待する。4.Jリーグに関する違反行為に対する対応違反行為の種類によって処分の決定機関が異なる。Jリーグ公式試合などにおいて、警告・退場に伴う出場停止処分の決定を主に行っているのがJリーグ規律委員会であり、Jリーグ規約に違反する行為についてはチェアマンが裁定委員会の諮問のもとで処分を決定している。MANAGEMENT STRATEGYJリーグのサステナビリティー39

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