2019シーズンは、主に昇降格クラブの影響で、入場可能数の大きな会場での試合が増えたが、単純に入場可能数が増えただけではなく、そこでしっかりお客様を迎えられたことが、全体としての集客に貢献しているといえる。上の表にある通り、30,000人超のスタジアムにおける試合数は23試合増加し、当該スタジアムにおける平均集客率も2.7%増加していることがわかる。特に、Jリーグにとってハイシーズンとなるゴールデンウイークや夏休み(お盆)、リーグ終盤のクライマックスにおいては、個々のクラブのさまざまな集客施策やデジタルマーケティングの活用等により、多くのお客様がスタジアムに足を運んでくれる結果となった。中でも30,000人超のスタジア入場者数の増減は、経営の中ではコントロールすることが難しいカレンダーやスター選手の影響と、施策の積み上げとしてのマーケティング活動の影響に分類できるが、それぞれが独立して影響を及ぼすわけではなく、その相乗効果で入場者数は増減しているため、一様な結論は出ない。 2019シーズンの波形を説明するにあたり、個々の動きの背景となったと考えられる数値情報を示しておく。ムには、お客様を吸収できる余地が多く残っていたため、集客施策の効果はより大きなものとなった。左の表にあるとおり、前シーズンの同時期と比べるとゴールデンウイークでは190,550人、夏休み(お盆)においては204,204人、クライマックスにおいては79,648人とそれぞれ増加のインパクトがあった。中でも、横浜F・マリノスやFC東京は、首位争いをしているチームの活躍やスター選手の人気を取りこぼすことなく、これを増幅させることによって成果を得ている。他にも、名古屋グランパスやガンバ大阪は積極的にデジタルマーケティングに活用し、チームの好不調に関係なく、狙いどおりの集客が可能になりつつある。いずれのクラブも30,000人超のスタジアムで活動しており、ゴールデンウイークや夏休み期間において、例年以上の集客を実現させている。もちろん、2019シーズンにおけるゴールデンウイークは10連休であったという特殊要因も忘れてはいけない。一方で、2019年9月20日から11月2日の約1ヵ月半の間は、ラグビーワールドカップ2019™が日本で開催されたため、一部のクラブはホームスタジアムを使うことができなくなった。上の表は影響があったクラブごとの影響をまとめたものであるが、ホームスタジアムで実施したと仮定した場合よりも約131,828人(10試合分)少ない集客となった。年間における30,000人超のスタジアムの集客■ハイシーズンにおける30,000人超スタジアムの集客■ラグビーワールドカップ2019™の影響■クラブ(スタジアム)名古屋(豊田ス→パロ瑞穂)横浜FM(日産ス→ニッパツ)大分(昭和電ド→大分陸)札幌(札幌ド→札幌厚別)総影響人数(合計)20192018201718試合66.0%562,101人16試合47.2%371,551人18試合51.8%431,091人17試合63.5%532,438人14試合53.8%328,234人14試合52.2%329,552人19試合60.6%566,357人17試合60.9%486,709人20試合54.5%483,179人ゴールデンウイーク8~11節※1夏休み(お盆)21~24節201920182017156試合133試合144試合55.7%53.0%50.6%試合数3,892,647人3,241,268人3,416,897人入場者数平均集客率クライマックス31~34節試合数4試合3試合2試合1試合影響人数(平均)▲12,095人▲19,892人▲7,089人▲9,597人▲131,828人※1 2018シーズンはFIFAワールドカップイヤーであったため、11~14節の数値で計算上段:試合数中段:平均集客率下段:入場者数※2 影響人数(平均)は、以下のとおり算出しているホームスタジアムにおける平均入場者数マイナス代替スタジアムにおける平均入場者数(代替した試合のみ)※2RESULTSSeason Results29
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