▶ 安心・安全な試合運営とクラブ経営のための備え自然災害リスクに対する取り組み特集:自然災害への備え今夏の台風19号・21号の影響で、Jリーグの複数の試合が延期となり、一部クラブの練習場やアカデミー施設などが被災した。リーグ運営の根幹である試合運営やクラブ経営の源である公式試合の安定開催を脅かすリスクが年々高まっている。そうした脅威に対し、リーグやクラブはどのような取り組みをしているのか。Jリーグの公式試合では、ホームクラブの実行委員が現場責任者となり、運営担当やセキュリティー担当が実務を担い、マッチコミッショナーが中立的立場で安全に運営がなされているか確認する。開催を左右する気象情報は、全スタジアムに測定機器が設置され、ウェザーニューズ社の気象システムでタイムリーに把握できるようになっている。試合時は気象の専門家へホットラインがつながり助言を仰ぐことができる。試合開催を脅かす有事には、ホームクラブ実行委員が、ビジタークラブ、マッチコミッショナー、審判員と協議を行い、開催可否をリーグへ報告する。対応の精度を高めるために、リーグやクラブの運営・セキュリティー担当者は、集合研修を通じてクラブの実例を共有し合い、海外や他業界からも事例を学んでいる。さらに荒天時や地震発生時などの緊急時に備えリーグ統一の対応マニュアルを策定し共有している。クラブの経営リスクはリーグの存続に直結する。そのため激震災害に指定された際に被災クラブを対象にリーグより調査団が派遣され、影響度合いに応じ、理事会において復旧にかかる費用補填や代替スタジアムでの開催が協議される。なお今夏の台風19号・21号を契機にクラブライセンス上の猶予期間の設定が議論され、条件に該当する被災クラブが猶予対象となった。1.公式試合の開催に関する備えと対応全クラブにピンポイントに天候を把握するためのウェザーニューズ社の気象システムを導入各種試合運営対応マニュアルの策定・共有定期的なセキュリティー会議や研修による事例共有 など事例紹介正・副コンプライアンス・オフィサー(競技・事業・総務)の設置被災クラブへのクラブライセンス上の猶予期間の設定復旧にかかる費用補填・代替スタジアムでの開催支援 など事例紹介2.災害発生時の初動と連携体制Jリーグ安全理念 試合実施時におけるセキュリティーは、究極の観客サービスである14
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