Adam Raimesテリー ウェストリー [右]Jリーグテクニカルダイレクター・コンサルタント英国生まれ。欧州サッカー連盟(UEFA)プロライセンスを保持し37年の指導歴を持つ。イングランド・プレミアリーグのウエストハム・ユナイテッドなどトップクラブで手腕を発揮しワールドクラスの選手を多数輩出。総額285億円以上の利益をもたらした。現イングランドサッカー協会コーチエデュケーター。ニューカッスル大学で法学士号を取得。ウエストハムでアカデミー運営責任者を務め、毎シーズン約22億円の移籍収入を還元。プレミアリーグ諮問委員会でのクラブやアカデミーの監査や、U-18&U-23リーグの土台を構築した実績を持つ。19年よりテリーと共にJリーグへ参画。アダム レイムズ [左]Jリーグフットボール企画戦略ダイレクタースを当てた、エリートな環境での個別育成が不可欠です。「エリート」という言葉について、教えてください。テリー:エリートとは、合格ラインを越えたものの中でも最優秀や優秀の位置にあるものを指します。アダム:継続的に世界トップリーグで活躍する日本人選手を増やすためには、エリートな環境で育成された、エリート選手を増やしていく必要があります。テリー:施策の1つであるエリートリーグは、エリート選手を育てるためのプラットフォームです。現状のJアカデミーにはトップチームとU-18の間にカテゴリーが存在しないため、同年齢以上のパフォーマンスを発揮できる選手にとっては18歳という年齢の壁に阻まれ、そこで頭打ちとなりやすい状況ができています。それではいけません。そこで、U-18とトップチームの間に新たにU-21のカテゴリーでの試合環境をつくりたいと考えています。そうすると、U-17・18のベスト選手はU-21のカテゴリーでプレーできます。それが、すなわちエリートを育てることにつながり、まさしくそれがエリートリーグとなります。クラブ経営者がアカデミー経営において心掛けるべきことを教えてください。テリー:Project DNAを進めていくためには、クラブが選手育成のために投資を行う必要があり、そうなるためにはどこかで利益を生み出す仕組みが必要です。例えば、Project DNAが機能すると多くのホームグロウン選手が輩出されることになりますが、仮にその選手が移籍すれば移籍金収入が発生しますし、名前が入ったユニフォームが売れて利益を得ることができます。海外では当然のように投資収益を意識して投資が行われており、クラブには巨額の資金が還元されています。日本にもこのようなサイクルを実現できる仕組みの整備が必要です。アダム:クラブの価値を上げるためには、マネジメント、トップチーム、アカデミーの三者が、同一のフィロソフィーを持つことが非常に重要です。私たちはそれを「黄金の一貫性」と呼んでいますが、その一貫したフィロソフィーをもとにそれぞれに適切な施策を実施することで、より大きな成果をもたらすことができます。テリー:そのために私たちは、まずはアカデミーに対して明確な評価基準を設け、例えば1つ星から4つ星で評価できるような仕組みをつくりたいと考えています。「良いアカデミーとは何か」が明確になれば、そのアカデミーが注目を集めるようになり、そのレベルに達することを目標にするような連鎖反応が生まれてくると思っています。テリー・アダム:リーグだけ、クラブだけ、アカデミーだけではなく、Jリーグ全体が1つの組織として「黄金の一貫性」を追求しながら、確固たる日本のDNAを持つワールドクラスの選手を輩出できるよう導いていきたいと思います。期待してください。TOPICS特集13
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