3vol.274 31 Oct. 2019クラブライセンス交付第一審機関(FIB)決定による2020シーズン Jリーグクラブライセンス判定について新たに3クラブがJ1クラブライセンスJリーグは9月27日、2020シーズンのJリーグクラブライセンス判定結果を公表した。同ライセンス交付第一審機関(FIB)が最終確認、決定したもので、J1クラブライセンス(J1ライセンス)とJ2クラブライセンス(J2ライセンス)についての判定。6月30日までに申請のあった全48クラブに交付された。J1ライセンスを交付されたのは2018年申請(2019シーズン)より三つ増えた44クラブで、J2ライセンスは4クラブとなった。新たにJ1ライセンスを取得したのはFC町田ゼルビア、鹿児島ユナイテッドFC、FC琉球の3クラブ。いずれも、昨年度に改正したスタジアムおよびトレーニング施設の例外規定適用による。この例外規定には「競技の公平性」を向上させ、「基準充足」のみならず最適な整備計画の検討を可能にし、「理想のスタジアム」に向けた整備を促進させるという目的がある。要件を満たしていれば例外を認め、上位ライセンス取得が可能となる二つの規定がある。例外規定で上位ライセンスが取得可能に例外規定1は、申請から4年目のシーズン開幕までに完成するスケジュールであり、工事期間中も試合開催に支障を来さないとJリーグ理事会が認める工事が着工されていれば、基準充足と判断。町田はホームスタジアムの町田市立陸上競技場がこの要件を満たしており、J1ライセンス取得に至った。例外規定2を満たしてJ1ライセンス取得が可能となったのが鹿児島と琉球。こちらは理想のスタジアムの4要件を満たすスタジアムの整備であれば、完成まで5年間の猶予期間を設け、基準を充足しているものと判断する。昇格後3年以内に、場所・予算・整備内容を備えた具体的なスタジアム整備計画を提出。5年以内に工事が着工されていれば、例外規定1との組み合わせも可能となる。なお、理想のスタジアムの4要件とは、①アクセスが優れている、②全ての観客席が屋根で覆われている、③複数のビジネスラウンジやスカイボックス、大容量高速通信設備(高密度Wi-Fiなど)を備えている、④フットボールスタジアムである、ことである。ただし、上記のような約束を守れなかった場合は、例外規定1、2とも効力を失い、その時点のスタジアムのグレードに合わせたライセンスとなる。また、例外的に上位リーグへ所属している場合は、翌シーズンは下位リーグへ降格。両例外規定とも2度目の利用はできなくなる。さらに、猶予期間が設定できない照明・諸室については、これまでどおりシーズン開幕までに整備の必要がある。猶予が可能なのは入場可能数、大型映像装置の項目のみ。トレーニング施設基準に関しても、内容は変更せず3年の猶予期間を設け、3クラブとも例外が認められている。是正通達はゼロ、トイレ数不足が大幅減一方、水戸ホーリーホックは昨年同様、解除条件付きでのJ1ライセンス取得となった。同条件は、FIBより通知された解除条件が成就した場合には、付与されたJ1ライセンスが効力を失い、J2ライセンスに変更されるというもの。具体的には11月24日(日)の明治安田生命J2リーグ最終節、または12月1日(日)に始まる予定のJ1参入プレーオフ後、昇格順位要件を充足できなかった場合、つまりそれによって予定されたスタジアムの短期改修工事を行わないことが確定した場合、J2ライセンス付与へ変更される。クラブライセンス交付判定に付帯して、経営上是正すべき点があるとFIBが判断したクラブに是正措置を通達する是正通達は、3年ぶりにゼロとなった。クラブの経営努力によって、改善が進んだと見られる。財務基準に関しては、単年度赤字クラブが前年度の14から18へ増加。3期連続赤字ルールの改定に伴い、予算編成の幅が広がったことや、クラブの積極的な投資などが背景にあると考えられる。琉球は唯一の3期連続赤字となったが、財務基準には抵触していない。施設基準ではトイレ数の不足が、クラブライセンスが導入された12年申請時の32クラブから4クラブへと大幅に減少した。1. 判定結果≪参考≫2. ホームスタジアムのトイレの数および屋根のカバー率に関するB等級基準の充足状況3. 判定に付帯する 経営上の是正通達(クラブ数)J1クラブライセンスJ2クラブライセンス不交付合計444048札幌・仙台・山形・鹿島・水戸(※1)・栃木・群馬・浦和・大宮・千葉・柏・FC東京・東京V・町田(※2)・川崎F・横浜FM・横浜FC・湘南・甲府・松本・新潟・富山・金沢・清水・磐田・名古屋・岐阜・京都・G大阪・C大阪・神戸・岡山・広島・山口・徳島・愛媛・福岡・北九州・鳥栖・長崎・熊本・大分・鹿児島(※2)・琉球(※2)秋田・長野・鳥取・讃岐※1 J1クラブライセンス交付についての解除条件があり、11月24日の明治安田生命J2リーグ最終節、または12月1日(予定)より始まるJ1参入プレーオフ後、昇格のための順位要件を充足できなかった場合(=スタジアムの短期改修工事を行わないことが確定した場合)、J1クラブライセンスからJ2クラブライセンス付与へ変更される。 ※2 施設基準の例外適用申請により町田、鹿児島、琉球が新たにJ1クラブライセンスを取得した (昨年はJ2クラブライセンスを取得)。※3 J3クラブライセンスは、Jリーグ独自にJ3クラブとして最低限必要とされる条件を示したものであり、J1・J2のクラブライセンス制度とは異なるものである。なお、J3クラブライセンスの判定は、Jリーグ理事会の決議事項となっている。項目クラブ数制裁なし基準充足17制裁免除(トイレ60%ルール) 6制裁免除(スタジアム新設・改修) 2制裁あり制裁(トイレ不足)0制裁(屋根不足)19制裁(トイレ・屋根不足)4合計48種類内 容J1クラブライセンス順位の要件を満たしていれば、2020シーズンはJ1・J2に残留または昇格することができるJ2クラブライセンス順位の要件を満たしていれば、2020シーズンはJ2に残留または昇格することができる(J1に昇格することはできず、J1参入プレーオフの出場資格もない)項目内 容B等級基準未充足(制裁対象)B等級基準(特にホームスタジアムのトイレの数・屋根のカバー率)を充足していないクラブに対して、制裁が科され得る。項目 概 要是正通達① 18年度予算進捗をJリーグに定期的に報告すること② 19年度予算編成時にJリーグに事前に説明すること③ ガバナンスの改善や内部統制の見直しなど組織体制強化を実施し、Jリーグに進捗状況を報告することクラブ数是正通達0対象外48合計48 Jリーグクラブライセンスには下記2種類があり、各クラブライセンス基準のうち「A等級」に指定されている基準を全て充足すれば、いずれかのJリーグクラブライセンスが交付される。 Jリーグクラブライセンス判定に付帯して、クラブ経営上是正すべき点があるとFIBが判断したクラブに対し、是正措置を通達する。 2019年申請においては該当クラブなし(以下の表は、18年申請時の通達内容(参考))。 各ライセンス基準のうち「B等級」に指定されている基準については、それを充足していなくてもJリーグクラブライセンスは交付される。 ただし、Jリーグクラブライセンス交付規則第7条および第8条に基づき、B等級の基準を一つでも充足していないクラブには、Jリーグクラブライセンス交付と同時に制裁が科され得る。■Jリーグクラブライセンスの種類■判定に付帯する経営上の是正通達■ホームスタジアムのトイレの数および屋根のカバー率に関するB等級基準未充足制裁対象のホームスタジアムとクラブ、制裁内容制裁対象スタジアムとクラブ制裁内容トイレ数不足のみ(0クラブ)該当なし・ 対象スタジアム名公表・ トイレ洋式化の計画もしくは構想の提出【期限: 2019年11月末】屋根のカバー率不足のみ(19クラブ)・ 対象スタジアム名公表・ 屋根のカバー率不足への改善策もしくは構想の提出[期限:19年11月末]トイレ数と屋根のカバー率不足(4クラブ)・ソユースタジアム【秋田】・笠松運動公園陸上競技場【水戸】・石川県西部緑地公園陸上競技場【金沢】・シティライトスタジアム【岡山】・ 対象スタジアム名公表・ スタジアム環境の抜本的な改善に向けた以下の計画および報告の提出① 19年7月から同年11月までの活動報告[期限 : 19年11月末]② 20年活動計画[期限 : 19年11月末]③ 19年12月から20年6月までの活動報告[期限:20年6月末]・ 活動報告および活動計画に関連し、クラブライセンス事務局が個別文書を発信する可能性あり・ NDソフトスタジアム山形【山形】・ 栃木県グリーンスタジアム【栃木】・ 正田醤油スタジアム群馬【群馬】・ NACK5スタジアム大宮【大宮】・ 三協フロンテア柏スタジアム【柏】・ ニッパツ三ツ沢球技場【横浜FC】・ Shonan BMW スタジアム平塚【湘南】・ 山梨中銀スタジアム【甲府】・ サンプロ アルウィン【松本】・ 富山県総合運動公園陸上競技場【富山】・ IAI スタジアム日本平【清水】・ ヤマハスタジアム(磐田)【磐田】・ パロマ瑞穂スタジアム【名古屋】・ とりぎんバードスタジアム【鳥取】・ エディオンスタジアム広島【広島】・ Pikaraスタジアム【讃岐】・ ニンジニアスタジアム【愛媛】・ 白波スタジアム【鹿児島】・ タピック県総ひやごんスタジアム【琉球】
元のページ ../index.html#3