おわりに Jリーグシンガポール視察2019報告書 (2019年6月14~17日) 31 AFCやプロの試合開催とは切り離して施設を見ると、頭の中がスッキリする。誰もがピッチの上で楽しめ、見学者のために屋根付きのスタンドも用意されている。このような「グラスルーツの施設」があれば、スポーツが一層楽しくなるに違いない。 同様のことが「ザ・フロート@マリーナ・ベイ」にも言える。狭い国土、入り組んだ湾の上に、ピッチを浮かべてサッカーやイベントに使用する発想。これも「プロ」とは無関係の視点から生まれている。 シンガポールプレミアリーグは、1996年に創立したが、国内での存在感はまだ薄い。しかし彼らはそれをハンディとは捉えていない。プロクラブに頼らない、本質的な国民のためのスポーツ施設に結びつけた発想で、シンガポールという土地柄に適した、世界には例を見ない施設を造り出したのだ。 3時間後、有料 (全席自由席、大人約600円)の観客は手荷物検査を受け、屋根に覆われた背もたれ43cmのゆったりとした個席に着く。ハーフタイムにはブラックライトで光るスタンプを手に押してもらって買い物などに出ていく。試合中、四隅にはタダ見客が立ち並んでいるが、それもこの施設の在り方の一つと割り切り、みんなでスポーツを楽しんでいる。その姿に、考えさせられるものが多かった。 公益社団法人 日本プロサッカーリーグ クラブ経営本部 クラブライセンス事務局 スタジアム推進役 佐藤 仁司 Jリーグシンガポール視察2019報告書 発行日 2019年10月1日 編集 大城 亨太(公益社団法人 日本プロサッカーリーグ クラブ経営本部) 写真 Ⓒ J.LEAGUE 発行 公益社団法人 日本プロサッカーリーグ
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