Jリーグシンガポール視察 2019 報告書
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Ⅴ.ゲイラン・インターナショナルFC Jリーグシンガポール視察2019報告書 (2019年6月14~17日) 24 払われている年間2000万シンガポールドル(約15億8000万円)の補助金が原資となっている。国を挙げてスポーツに力を入れている中で、リーグやクラブの運営に関しても国からの手厚いサポートが整っている。 また、サッカークラブはその他社交クラブと同様に、国からジャックポッド(スロットマシン)の営業およびスポーツくじの販売を行う権利が与えられている。その他収入としてある程度の売り上げがあるものの、マシンの台数に上限(基本的に15台)が設定されており、建物の確保などの投資も必要であるため、クラブとしては成長性のある分野とは考えていない。営業権の付与にあたっては、アカデミーチーム(U-18、U-15)を保有すること、スクール事業を行うこと、学校を訪問してサッカー教室を行うこと、といったルールが設けられている。 オフィシャルショップ(隣にジャックポッドの店舗がある) (4)組織体制 会長、副会長に加えて非常勤の理事が6人いるがいずれも無報酬である。職員は、フロントスタッフが3人、コーチングスタッフが7人、クラブハウス(ジャックポッド含む)スタッフが12人という体制である。フロントスタッフは最低限の人数という状況であるが、会長のBen Teng氏としてはクラブの経営規模を考えると仕方がないという認識である。主にGMが複数の業務を行っている状態である。 会長はアラブ首長国連邦のドバイで事業を行っている実業家である。シンガポールプレミアリーグでは、各クラブの会長はFASが定める仕組みとなっており、ほとんどの会長は実業家が本職でクラブ会長を兼任する形となっている(例えば、タンピネス・ローバーズFCの会長は弁護士、バレスティア・カルサFCの会長はスポーツ用品店の社長)。Teng氏が会長に就任したのは3年前で、経営破綻しかけていたクラブの立て直しを依頼されたことがきっかけであった。財務的に少し安定してきたこともあり、今後は、サポーターを増やすことを目指して、SNSなどを活用したファンエンゲージメント、広報活動に力を入れていきたいという話であった。 Teng会長(右から2人目) Gay副会長(左から2人目) 四方理事(左端) 2.ホームスタジアム (1)ベドックスタジアムからの移転 シンガポールプレミアリーグでは、クラブよりもFASの力が強く、the shared stadium initiativeの導入についても、是非を議論する場は設けられたものの、「まずやってみる」というSports SGやFASの方針に基づき取り組みが進められた。 ただし、ホームスタジアムを移転するクラブが経済的に不利益を被ることがないように、Sports SGから

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