2019/4(Vol.271)
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2vol.271 25 Apr. 20192030Jリーグフットボールビジョン(案)Project DNAで目指す育成改革  Jリーグは昨年、リーグ戦が始まって25周年という一つの節目を迎えた。クラブ数は当初の10から今シーズンは55に増加し、それらのホームタウンは39都道府県に拡散。Jリーグ百年構想クラブの存在もあって、その規模はさらに拡大しようとしている。 新たな四半世紀では、理念の実現に向けたさらなる成長が期待されている。その過程で、Jリーグは2030年にあるべき姿を現段階では「2030Jリーグフットボールビジョン(案)」として右の①〜⑥のように描いている。この近未来像を実現するため、社会連携、フットボール、ビジネスという三つのミッションの各領域で、さまざまな施策に着手する。その中で「Jリーグの価値の源泉」(黒田卓志Jリーグフットボール本部長)であるフットボール領域は、「その水準をどのように向上させるかが、30年に向けて非常に重要となる」(同)。 そのポイントを簡潔にまとめたものが、既に『J.LEAGUE PUB REPORT 2018』でも紹介された図1だ。左側は激しい競争を促すためのトップの環境整備、右側が優れた選手を育て、輩出するためのアカデミーの環境整備、そして下が選手を育てる指導者の養成という構図である。これらの推進を通じてクラブのフットボール経営力(フットボールに必要な全てを備え、高める力)を高め、世界で活躍できる選手の輩出、日本代表の強化につなげる。それはJリーグの理念にもある「日本サッカーの水準向上」を目指す道でもある。 今シーズンは、クラブの選択肢を広げて高水準の競争を実現する外国籍選手枠の緩和を実施(図2)。自クラブで育てた選手をトップチームに一定数登録することにより、選手育成へ直接的にコミットするホームグロウン制度をJ1で導入した(J2、J3は22年から)。これらは競争と育成を両輪として優秀な選手を生み出すのが狙いで、優れた選手を継続的に輩出することがJリーグの活性化、発展につながる。育成を19年の最重点投資項目に位置づけたのもそのためである。選手や指導者の資質を紡ぐプロジェクト Jリーグは創設当初よりクラブに育成組織の保有を義務づけ、2002年にJリーグアカデミーという呼称での活動がスタートすると各種大会の開催、海外遠征による国際経験の機会提供、指導者研修など多彩な施策によって個の育成を促してきた。今後、選手育成の取り組みで期待されるのは、これまでの成果を踏まえたさらなる進化。世界に伍して戦うリーグへ成長を遂げるために、優れた選手を輩出するシステム構築に着手する。①世界的な競技水準になっている②全クラブが地域に根差した個性的なクラブフィロソフィーをもっている③日本型のフットボール人材育成システムで、世界最高水準の選手・指導者・スタッフを輩出している④世界各国を代表する選手・指導者・レフェリーが活躍している⑤1試合も欠くことなく安全・安心・確実にフェアな試合を提供している⑥年齢・性別・障がい・人種などに関わりなく、だれもが、いつでも、どこでもスポーツを楽しんでいるフットボールの水準向上【図1】重点施策【図2】Jリーグの中に世界をつくる選手のレベルアップ=世界で活躍できる選手クラブフットボール経営力の向上GM・SD育成フットボールフィロソフィー健全な競争を育むリーグ構造 最適なカレンダー設計自由な競争を促す規制の緩和・撤廃審判レベル向上世界との差を可視化 試合運営の型化による 省力化・効率化・平準化 理想の 育成カレンダーの設計トレーニングなどの環境整備地域との連携促進成果指標の明確化国際経験創出データベース活用:2019年重点施策ヘッドオブコーチング育成海外指導者招へい長期の海外派遣選手教育担当の育成指導者育成アカデミーの環境整備トップの環境整備JリーグJリーグJリーグリーグ / クラブが「育成」に注力するという約束日本版ホームグロウン制度さまざまな育成諸施策リーグの中にExcellent / Great Playerが増加リーグの魅力が向上高水準で激しい競争環境リーグの水準向上世界水準のリーグが実現日本代表強化(世界トップ10)世界水準の選手が増加良い選手を獲得できる可能性を広げるクラブの自由度を広げる競争育成外国籍の規制緩和選手のレベル向上海外への挑戦経験値の蓄積

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