2018
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魅力的なフットボール魅力的なフットボールにゴールはありませんが、Jリーグは、クラブがフィロソフィーに根差したサッカーを高い次元で体現するリーグを目指します。Jリーグは、FIFAクラブワールドカップや、ACLへ続いていますし、選手単位ではFIFAワールドカップへ続いています。競技力を高めるためには常に世界水準を組み込む必要があります。2019シーズンより、外国籍選手の出場枠を広げて、クラブが選択肢の幅をより広くするため規制を緩和します。背景のひとつには、選手の育成基盤が少しずつ強化されてきたことがあげられます。全クラブにJリーグアカデミーがあり、外国籍選手の出場枠を定めた1993年から25年がたって、自クラブのプロサッカー選手を育てる力が備わりつつあります。ホームグロウン制度を、外国籍選手枠の規制緩和と併行して採用することで、自クラブで育った選手が、やがて世界水準の舞台でその力を発揮しさらに成長する姿を理想においています。そのために、スポーツダイレクターやゼネラルマネージャー、アカデミーダイレクターといった、強化や育成におけるプロフェッショナルの人材の確保も重要な議題です。海外指導者からのアドバイスや、世界で活躍する選手や選手OBからの示唆などを通じて、常に世界水準に触れる接点を増やし、クラブが恒常的に競技力を高められるリーグとなることを目指します。国際戦略今夏、アンドレス イニエスタ選手やフェルナンド トーレス選手といった世界的な名手がJクラブへ加入しました。すぐさま反響は広がり、イニエスタ選手が加入した際の報道量は世界3番目、11カ国で報じられるなど、これまでの露出にはないスケールを感じます。投資を決断したクラブ努力のたまものですが、一過性の限定的な効果にとどまらないことが大切です。一方、アジアの有望な若い選手の挑戦も数多く見られました。2012年からスタートしたアジア戦略は、多くの実りを生んでいます。はじめにリーグ間提携を結び、クラブ同士、選手・指導者同士、企業同士がつながるネットワークづくりを行い、2016年以降、インドネシアやタイ、ベトナムなどから代表クラスの選手がJリーグでプレーするようになりました。2018年は、J1で3人のタイ出身選手が活躍しています。ビッグネームがJリーグへ活躍の舞台を移したことで、タイでのJリーグの認知度が向上し、プレミアリーグ、自国リーグ、ブンデスリーガの次にJリーグが続いています。その効果によりアジアへマーケットを広げる企業を後押しする動きも生まれてきました。世界一競技人口の多いとされるサッカーは、アジアの多くの国でもナンバーワンの人気スポーツです。タイのモデルを応用し、アジアのビッグネームがJリーグを目指す流れを加速させ、アジアのフットボールはアジアが強くするという強いリーダーシップを持って取り組んでいきます。デジタル技術の活用ここ2~3年で一気に整備が進んだデジタル共通プラットフォームを通じて、どのようなお客様がJリーグを訪れ、まだ来たことのない方をどう誘うのか、といった情報が可視化されつつあります。オープンIDであるJリーグIDは1年で100万人以上の方にご利用いただき、さらに伸長しています。チケット、グッズ、観戦情報といった、お客様が誰もが使うユニバーサルなサービスもデジタル化が進みました。その一方で、視聴環境も大きく変わってきました。2018年はDAZNでプロ野球をはじめ配信する競技の幅が増え、スポーツの視聴プラットフォームとしての存在感が高まっています。プロ野球愛好者が2番2.5つの重要戦略の総括2014年にチェアマン就任後、Jリーグの成長土台を築くため「魅力的なフットボール」を「多くの方へ届ける」ことを目指し、育成基盤と財政基盤の上に「魅力的なフットボール」「国際戦略」「デジタル」「スタジアム」「経営人材育成」の5つを重要戦略として掲げてきました。8803COMMENTSチェアマン総括 | 村井 満

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