2018
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Jリーグが掲げる「理想のスタジアム」アクセスが優れている全ての観客席が屋根で覆われている複数のビジネスラウンジやスカイボックス、大容量高速通信設備(高密度Wi-Fiなど)を備えているフットボールスタジアムであるスタジアムJリーグでは、プロスポーツのビジネス環境を視野に、最低限必要な設備を「スタジアム基準」と定め、各ホームスタジアムに基準の充足を求めてきた。施設を所有するホームタウン自治体などにご理解、ご協力いただき、Jリーグ開幕後、スタジアム環境は、競技運営、試合観戦、メディアや中継などのあらゆる面で飛躍的に向上してきた。今後、地域社会の発展とともにさらにスタジアムの進化を図っていくために、Jリーグは25周年を迎えたこのタイミングで、「理想のスタジアム」に欠かせない要件を大きく打ち出していきたい。これら4つの要件は、将来的に基準として義務化することを念頭に置いている。国内のスタジアムの多くは駅から遠い郊外にあり、スムーズにアクセスできる立地にない。試合日にスタジアムを訪れるサポーターの目線に立ち、また試合のない日の施設の活用から、スタジアムへのアクセスは最も重要な要素と言える。ホームタウンの中心市街地から20分以内、徒歩圏内に駅やバス停があって公共交通機関を利用してスムーズにアクセスできる。地域によっては大型駐車場が完備されていることも必要で、交流人口の多い商業施設などに隣接するケースも含め、いわゆる「人が集まりやすい場所」の近くにスタジアムがあることが望ましい。屋根メルキュアシュピール・アリーナ(ドイツ・デュッセルドルフ)と駅の関係図スタンド内では傘を差して観戦はできない。雨合羽やポンチョでずぶ濡れの応援。前売りチケットを買っても天気予報を気にしながら週末を迎えるビクビク感。快適な観戦環境には、観客席を覆う屋根は必須である。日本国内にも、長野Uスタジアム、パナソニック スタジアム 吹田など、屋根で覆われたスタジアムが誕生してきている。アクセス海外でもアクセスを重視したスタジアムが多く、例えば、オーストリアのウィーンにあるアリアンツ・シュタディオンは、市内中心部から約6km離れた地下鉄の駅から約250m、徒歩3~4分の距離にある。また、ドイツのデュッセルドルフにあるメルキュアシュピール・アリーナは、地下鉄の駅とスタジアムの入場ゲートが直結しており、観客は雨の日でもまったく濡れることがない、まさに「駅ナカ・スタジアム」である。同一敷地内にメッセ会場が整備されているため、高速道路やバスのアクセスもよく、広大な駐車場も整備されている。国内の事例では、ミクニワールドスタジアム北九州が挙げられる。小倉駅から徒歩7分という抜群の立地にあり、新幹線が停車する駅からのアクセスでは日本で最も優れたスタジアムである。出典:https://www.merkur-spiel-arena.de6202MANAGEMENT STRATEGYFor Fan&Customer有識者インタビュー戦略の全体像施策

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