2018
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1941年、現在のボスニア・ヘルツェゴビナのサラエボ生まれ。2003年から06年7月に監督を務めたジェフユナイテッド市原(千葉)では、05年にJリーグヤマザキナビスコカップ(現JリーグYBCルヴァンカップ)優勝。その後、日本代表の指揮も執った。©J.LEAGUE有識者インタビュービチャ オシムIvica Osimイビチャ オシムJリーグ副理事長原 博実原:お久しぶりです。先日のワールドカップがあり、日本はベスト16という結果に終わりましたが、オシムさんが現在の日本サッカーやJリーグについてどのように思っているのか、今後どうしたらよいかなど色々お話しを伺えたらと思います。オシムさんはJリーグの試合をご覧になりますか。オシム:Jリーグはヨーロッパもしくは世界のサッカーにとても近づいてきた印象です。Jリーグはとても進化していて、前よりもずっと熟成されつつあります。選手はすでに技術とテクニックは持っているので、あとはもっとアグレッシブに、強みを積極的に生かすようなサッカーができてくるといいですね。選手の強みを引き出しアシストしてあげるようなJリーグになるといいですね。原:ワールドカップをご覧になっていかがでしたか。オ:世界に対し日本のサッカーのイメージアップがはかれたと思います。日本とクロアチア、この2つのチームは、取り立てて進歩したな、と。しかし、大切なのは未来のことです。ワールドカップは過去のこと。もちろん、日本の優れたテクニックが証明されましたが、今後は、それらをさらにどうやって伸ばしていくかが肝心です。原:どのように伸ばしていくのがよいでしょうか。オ:サッカーで伸びしろがあると思うのはテクニックの部分です。一人一人のテクニックの部分。既に日本人はとても良いテクニックを持ってはいますけれど、多くの選手が既に自分はもうこれ以上伸びない、という、自分で自分に枷をかけてしまっている印象があります。でもそんなことはないのです。これは人生と同じで、生涯をかけて進歩するものなので、やった分だけ、大きな差となって出てきます。自分がもし日本に行けたら行って伝えたいくらいです。体調もあって行けないのが悔しい。日本の選手達はまだまだ絶対に伸びる。ポジティブに前を見据えて頑張っていける国民性を持っているので、私がいなくても、きちんと伸びて行ってくれると信じています。原:Jリーグができて、今年で25年になります。Jリーグで活躍されたオシムさんのお話を伺って、次にいろいろと活かしていきたいなと思っています。オ:日本は原石のようなとても良い選手がたくさんいます。才能があってプレーの精度が高く、サッカーを愛する気持ちも強い、多くの伸びしろをもった選手がたくさんいます。日本はヨーロッパと地理上は離れていますが、憧れてばかりではなくて、本当の意味で近くなったほうが良いと思います。つまり、ドイツやイングランドの真似をするのではなく、日本のオリジナリティーを開発し、ヨーロッパのように立ち向かえる強さ、勝負できることを、自分たちの手で作っていくことが大切です。その意味で、大きな問題に見えるのは、選手自ら意見が伝えられず、イエスマンになってしまっているように見受けられること。上から言われることをただ聞くだけになると、アイディアなんて、自然と無くなってしまいますよ。そういう意味では、選手がヨーロッパのトップリーグへ行きたいという気持ちを持つのは、上手くなりたい、進歩したいという意思を持っているからこそ出る野心だと思う世界における日本サッカーの現在地ジェフユナイテッド市原(現在のジェフユナイテッド千葉)や日本代表監督を務め、日本サッカーを牽引したイビチャ オシム氏にJリーグ副理事長である原 博実がJリーグと日本サッカーの現状について聞いた。世界は今、日本を脅威に感じています5202MANAGEMENT STRATEGYFOOTBALL施策戦略の全体像有識者インタビュー

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