2018
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2018年 81%Jリーグは、Jクラブアカデミーと協力し、指導者養成、育成環境の整備、試合環境の整備に取り組んでいる。2015年からJFA/Jリーグ協働プログラム(JJP)として、特に育成基盤の強化を推進してきた。4年目のことし、チーム単位での海外遠征支援や、国際大会開催支援、指導者の長期海外研修を継続するとともに、オーディット(監査)により浮き彫りとなった、個の育成をはじめとした各種重点課題の改善に具体的に着手した。JFAとの協働プロジェクトとしては最終年となる今年は、これらの成果検証を行った上で、来期以降の具体的な取り組みにつなげていく。アジアを勝ち抜き世界で活躍できる選手を輩出するには、選手はもちろん指導者も含めたチーム単位で、早期に世界水準を知る経験が重要である。JJPでは、遠征資金の補填や、遠征先の調整支援などを通じて、チーム単位での海外遠征を実現しやすくした。2018年現在、Jアカデミーの全チームの81%がトップに上がる前に海外遠征を経験している。▶ チーム単位での海外遠征支援育成年代の指導者が国際経験を積む目的で、2016年からJJPの一環で指導者の海外派遣を行っている。2018年はJクラブからは3名が派遣された。東京ヴェルディの冨樫 剛一コーチは、既に6月にスペインのレアル・ソシエダでの1年の研修を終え帰国。柏レイソルの松本 拓也コーチは、ドイツの1.FCカイザースラウテルンに赴き、同クラブのゴールキーパー(以下、GK)育成の責任者であるスヴェン氏の元、歴代のドイツを代表するGKを輩出し続ける同クラブのGK育成の仕組みを学んでいる。同アカデミーには各年代に計5名のGKコーチが所属しており、同プロチームのゲリー・エアマンGKコーチからの学びにも期待したい。セレッソ大阪の田島 一樹コーチは、7月から12月まで、イングランドのプレミアリーグに所属するウエストハム・ユナイテッドFCに派遣されている。同クラブでは、個別の選手育成計画(Individual Development Plan: IDP)を発案し、選手育成を推進するヘッドオブコーチングのテリー・ウェストリー氏に学びながら、U-16、U-17のコーチとして研修している。2017年のU-17、U-20両ワールドカップで優勝を果たし、FIFAワールドカップ™ロシアでベスト4の同国の育成システムにおけるアカデミーの役割をぜひ吸収してきてほしい。また、JFAアカデミー福島に所属の松原 英輝コーチもフランスのクレールフォンテーヌ国立サッカー養成所で研修中である。日本の各アカデミーでの豊富な経験を有するコーチたちが、単なる見学者ではなくコーチという立場でヨーロッパの育成力に定評のあるアカデミーや育成組織に時間をかけて経験することで、数週間といった短期間とは異なる学びや信頼関係を得ることができている。研修先のフットボールフィロソフィーへの深い洞察を通じて、2000年初頭から欧州各国の協会あるいはリーグが打ち出した各種育成施策がクラブに及ぼした影響まで学べるのも本事業のメリットである。これまで本事業を通じて7名の指導者を派遣したが、2019年以降も毎年数名の指導者を送り出すべく、研修先のクラブと日本側のクラブの交流が帰国後にも国際大会などを通じて促進され、世界のフットボール事情を独自のルートでアップデートできるクラブが増えるよう、Jクラブと海外クラブとの最適なマッチングを含めて本事業を推進したい。▶ 海外指導者派遣クラブのDNAを宿す選手を育成するのクラブが海外遠征を経験のべ 225チーム[ 選手 ]約4,000名[ 指導者 ]約900名JFA/Jリーグ協働プログラム(JJP)育成年代の選手が海外遠征を実施したチーム数201880チーム201766チーム201661チーム2015※18チーム※2015年の募集は9月~12月の4ヶ月のみ©Y.F.M.5002MANAGEMENT STRATEGYFOOTBALL有識者インタビュー戦略の全体像施策

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