ライブの価値はますます向上、統計データから新たな発見を Jリーグは、開幕と2002年のワールドカップが生活者にとっての興味のピークで、その後は貯金を少しずつ食い潰してきたとも言えるのではないでしょうか。もちろん既存のファンは大事ですが、成長を考えると、今までスタジアムでもテレビでも観戦していない人に、いかに興味を持ってもらうようにするかが肝です。 対テレビ戦略も大切ですが、まずはやはりスタジアムで観戦して「ライブ感」を楽しんでもらう人を増やすことに力点を置く。音楽の分野でも、フェスに行く人が年々増えています。今の時代において「ライブ」の価値はますます高まっているのです。Jリーグとしてもこの流れにうまく乗るどころか、むしろ牽引していくべきでしょう。そのために、スタジアムのホスピタリティを充実させることも忘れてはいけません。「また来たい!」と思ってもらえるようにすることが重要です。スタジアム観戦こそ新規顧客掘り起こしの力点にプレークオリティの向上へ、データの「発見」から「活用」までを 「+Qualityプロジェクト」はよい取り組みだと思っています。アクチュアルプレーイングタイムという指標も、国際比較ができるので面白いとは思いますが、テレビのチャンネルの切り替え状況や、スタジアムにいる観客のインターネットアクセス状況などからも、試合やプレーの魅力度を測ることができるかもしれません。 今年からとりはじめたトラッキングデータを使った、『Jリーグトラッキングデータコンテスト』もおもしろい取り組みですよね。私も審査員をつとめましたが、データをオープンにして、いろんな人に分析をしてもらって、新しい発見を得るというのは、最近企業も取り組み始めたばかりの、可能性ある方法です。来年はハッカソン形式にして、最先端の戦術論を熟知しているサッカーの専門家も巻き込みながら、より実践的な分析をするのもよいのではないでしょうか。 ただし、良い分析や統計データが取れても、現場で活用できなければ宝の持ち腐れとなります。分析や統計を活用するときの最大の壁は「意思決定」です。意思決定をするところと、意思決定をさせるところに、いかに組み込んでいくかが課題となります。この点、「データはあるから好きにして」というスタンスではなく、リーグとして「こういう風に使うといいですよ」というアイデアを集め、横展開していくことで、少しずつ温度をあげていくことが必要です。 データ分析を使って「いいポジショニングって何だ」というモヤモヤしたところを説明できるようになったり、統計学を使って「試合の戦術的なポイント」をリアルタイムで観戦者に伝えられるようになったりしたら面白いですね。Jリーグには、そういった新しいサッカーの楽しみ方をどんどん生み出してほしいと思っています。Japanの冠をリーグの名前につけた以上は、日本でNo.1のスポーツコンテンツになることを期待しています。Jリーグに一言株式会社データビークル 取締役 製品担当西内啓52
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