Jリーグ欧州スタジアム視察2014
9/63

Ⅰ‐1.RCDエスパニョール Jリーグ欧州スタジアム視察2014報告書 (2014年2月8日(土)~16日(日)) 8 (6)スタジアムプロジェクト(今後の予定) スタジアム内の14,000㎡のスペースの内、4,000㎡のスペースで、フィールドが見えるホテルを建設予定。また、バックスタンド側(ショッピングモールsplauの前)の3,000㎡のスペースで、企業オフィス、商業スペース、ジム、ミュージアム、健康・レジャー施設の建設も予定している。 3.練習場について 練習場「Ciudad Deportiva Dani Jarque」は、スタジアム立地とは正反対のバルセロナ北東サン・アドリア・デ・ベソスに所在する(地下鉄駅から徒歩8分)。 総面積60,000㎡。天然芝2面、人工芝1面、人工芝ミニコート7面、人工芝GK用練習コート、人工芝多目的フィールドを有する。 観客席は1,200席と立ち見席が320席。 諸室については、チーム更衣室6室、指導者用更衣室、審判更衣室、医務室を備え、その他にジム、カフェ(80人収容)がある。駐車場は150台分。 4.所感 サッカースタジアムは、大規模集客施設(街の集客装置)であることから、3万人から4万人を輸送することを考えると、日頃から多様な公共交通機関(電車・地下鉄・トラム・バス)でアクセスできる立地が最も重要であることが再確認できた。さらに、駅を降りてからスタジアム至るまでの平坦な道、コンコースへのスロープ状のアプローチ、入場ゲート、広い場内コンコース、自分の座席までといったアクセシビリティが非常に容易であるため、RCDEでは2万人の観客が試合終了後8分から10分で分散(退場)することが理解できた。 収容人数も重要な項目で、RCDE幹部曰く、「自分たちのクラブの身の丈にあった収容人数を決定しなければならない。バルセロナという地において、我々は4万人が最適であると考えた」という。日本のほとんどのスタジアムは、行政が所有しており、まだまだ陸上競技場を兼ねているスタジアムも多く、スタジアムの収容人数は、クラブにとって小さすぎるか、大きすぎるかのどちらかであるように思われる。 実際に広島においては、公称5万人の陸上競技場のスタジアムであり、老朽化も激しく、屋根もなく、試合日にはマイカーでの来場率が40%を超える。公共交通機関でのアクセスは、シャトルバス・路線バス、アストラムラインに限られており、試合日には周辺の交通渋滞を引き起こし、近隣にご迷惑をかけ、ご来場いただく方に大変なご苦労を強いているのが現状であり、RCDEの考え方は大いに参考になった。 また、「スタジアムは、街づくり」の観点に立てば、やはり試合日以外を含めた365日誰かに使っていただく仕掛けや機能が必要である。と同時にスタジアムも、街や地域の状況に応じて求められる機能が将来的に変化していく可能性があるため、30年、40年先を見越して、スタジアム自体に将来のフレキシビリティさを持たせた設計・構造が必要であるということも学んだので、今後のスタジアム推進活動に活かしたい。 ホテル建設予定地 オフィス、 商業スペース等 建設予定地 ⒸRCDE

元のページ  ../index.html#9

このブックを見る