Ⅴ.参加者所感 Jリーグ欧州スタジアム視察2014報告書 (2014年2月8日(土)~16日(日)) 56 できたことは、貴重な経験であった。 スタジアムが、単なる競技場ではなく、社交場やビジネススポットとして機能する、日頃から地域の方々が自然とスタジアムに足を運ぶような機能があれば、Jリーグ(サッカー)が、その街の文化として根付くきっかけになると感じた。 (サンフレッチェ広島 森脇 豊一郎) ◆ ◆ ◆ 8日間で10施設を視察し、文化や歴史の違いこそあれ、広島(日本)のサッカースタジアムの目指すべき方向性が少し理解できたように思う。 各地域でのサッカーの伝統はこれからの積み重ねであるが、地域経済や教育に貢献し、環境に優しく、地域に広く愛されるスタジアムを検討していくべきだとあらためて感じた。 スタジアム建設にあたって、どのスタジアムでも共通的に感じたことは以下の通りである。 1. スタジアムのロケーションとして、アクセス性の良さ(街の中心 or 駅から近い)はどこでも優先されて いる。また、試合の無い日の集客のしやすさも大切である。 2. 立地によっては駐車場を広く確保することも大切であるが、試合前後にスムーズに人も車も流れるこ とが大切である。 3. サッカー専用スタジアムは、選手を自然と興奮させる魔力を持っている。更に屋根付きであれば、臨 場感も増し、音響システムの充実により、もはや“劇場”の感覚である。 4. 観客席スタンドのカラーコーディネイトも、そのスタジアムの与える印象に大きく影響する。 5. VIPラウンジを広くとり、年間契約あるいは試合の無い日の会議や パーティー、レストランとしての利用により、安定した収益を確保する 事が出来る。広島という地は、団体観光客も多く、その利用価値は 計り知れないと考える。 6. 観客の嗜好も違うので、メインスタンド、バックスタンド、ゴール裏でサービスの差別化を図っても良 いのではないかと思う。 7. MAZDA Zoom-Zoom スタジアム広島のように、コンコースから同じ目線でピッチを見ることができ る設計が望まれる。 8. スタジアムを多目的に使うため、行政や近隣住民とも連携をとり、ルールづくりが必要である。 9. 数十年先を見据えて、フレキシブルに対応できるスタジアムづくりが望まれる。 10. ネーミングライツによる収益増加も効果的に行なうべきである。 11. 付帯施設には、そのスタジアムにしかないオリジナリティーあふれるものが集客性を増す。 12. スタジアム建設にあたり、屋根の構造など設計の工夫でコスト削減が図れる。 (広島県サッカー協会 先本 賢司) ルツェルンのスカイボックス
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