Jリーグ欧州スタジアム視察2014
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Ⅳ‐1.1.FSV マインツ05 Jリーグ欧州スタジアム視察2014報告書 (2014年2月8日(土)~16日(日)) 45 りして楽しんでいる光景もよく見られる。 クラブは地域に深く愛されていて、子供達の憧れとなり、そこでプレーすることを夢見て育っていくのだろうと思う。 Q: 外からJリーグを見て思うこと Jリーグが更に盛り上がる為にはいろいろな工夫が必要だと思う。こちらに来て、スポーツで盛り上がるということに、ものすごい効果があると実感した。日本はドイツに比べて、楽しむ選択肢が多いが、サッカーを楽しむ人がもっと増え、Jリーグが更に魅力あるものになって欲しいと思う。 6. 所感 一言で言って、「ドイツらしく無駄なものを省き、シンプルでありつつも機能性高いスタジアム」という印象である。しかしながら、冒頭にも述べたが、夜になるとスタジアム外壁をライトアップさせるなど装飾にも力を抜いていない。チームカラーの赤に染められたスタジアムには、訪れる者のボルテージを一層掻き立てられる。 それは、CEOブリュームライン氏が言った「スタジアムは“エモーショナル・プアー”であってはならない」という言葉に表現されているものの一つだろう。 前述したスタジアムDJの煽りや試合前にサポーターが多く集まる場所を、あえてチームバス動線にして声援を送らせるなど、ハード、ソフトともにファン・サポーターと選手の「エモーション」を高ぶらせる施策が散りばめられていると感じた。 スタジアムそのものに複合的機能や付帯施設は無い。しかしながら、サッカーを介して、スタジアムが地域の社交場、ビジネスの拠点となっていることが窺える。やはりサッカー文化が成熟しているのであろう。 視察時は金曜の夜20:30キックオフという試合であったものの、26,754人の来場者があった。 お世辞にもアクセスが良いとは思えないロケーションではあるが、これほど多くの来場者数があることは正直驚きである。地域に根差し、安定したクラブ作りに成功していることが想像できる。 今回は許される時間が少なく、踏み込んだインタビューはできなかったが、100年以上もの長き間、2部に低迷したクラブを1部に押し上げ、その後のクラブ作りに、スタジアムの存在が大きな要因となり、今日の成功につながっているのであろう。 人口20万人のホームタウンで、30,000人を超える平均入場数を確保していることから、地域に根差した基盤を、長年に渡っての地道な努力により作り上げてきたと言える。日本とはサッカーにおける文化の違いはあるものの、今後、我々も目指していくべきものと改めて考えさせられた。 また、ハード面においても、日本とは建築基準など単純に比較はできないものの、€6,000万(70億2,000万円)という低コストで、30,000人規模の機能性高いスタジアム建設が実現できたことは、大いに参考となった。 インタビューに答えてくれた岡崎慎司選手

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