Ⅲ‐2.ストーク・シティFC Jリーグ欧州スタジアム視察2014報告書 (2014年2月8日(土)~16日(日)) 33 管理室の対応は主に、①スタジアム周辺の交通、 ②ファーストエイドを含む医療体制、③反社会的行動の取り締まり、の3つを中心に行っている。試合時は、120人の警備員と250人のスチュワードが配置される。 救護室は4つのスタンドに2か所ずつ設置しており、スタジアム全体で8ヶ所。1ヶ所あたり4人構成のチームで、計32名が救急対応にあたっている。1チームが1,000人の観客をケアする勘定になる。 また、救急車2台および追加要請の通知システムの整備、火災時対応専門スタッフも常にスタジアム内に9名配置している。 尚、緊急時にピッチへの避難動線を設ける事が法律で定められているとのこと。 <反社会的行動への対応> これらの行動への対応は、原則として証拠なしには行えないため、観客の証言や通報を現場近くにいるスタッフがキャッチ出来るような体制を整備している。 証拠を押さえるために、モニターシステムで確認した際は、その場ではなくハーフタイム等で席を立ったタイミングで接触し、行為をやめるよう説得。また場合によっては警察の協力を得てスタジアムから退去させるケースもあり。 さらに悪質な場合は所持しているチケットから本人を割り出し、次回以降の入場禁止処分を取る場合もある。 反社会的行動の大部分は相手サポーターとのトラブル。アウェイサポーターのトラブルへの対応は、サポーター情報のデータベースがないため、事後に追跡する仕組みをとっている。 セキュリティ担当者の会議は、プレミアリーグとして年2回、地域レベル(1部から4部までのクラブ)で行うものが年に4回、実施されており、セキュリティ担当者の資格にもランクが設けられている。 3.さいごに まず、スタジアムに足を踏み入れた瞬間、そしてスタジアムのいたる所で、クラブの築いた歴史の重みを感じさせられた。 また、現在の活動が将来の歴史の頁となっていく様子も容易に想像することが出来た。 長い歴史の中でストーク・シティFCが市民の生活の一部となっているのは必然である。そして、これら市民が必要としているものが、サッカーの試合とその観戦環境であり、また地域住民が集まる集会場としての機能である。その実現のために整備された施設がスタジアムである、という論理が成り立っているように思えた。 実際に反社会行動で使用された危険物を手に説明をする セキュリティ管理責任者 Rob Killingworth氏 セキュリティ管理室からピッチを臨む
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