Ⅲ‐1.ダービー・カウンティFC Jリーグ欧州スタジアム視察2014報告書 (2014年2月8日(土)~16日(日)) 29 (3)社会活動に30名のフルタイムスタッフ 社会活動は、30名の常勤スタッフを持ち、地元にある300以上の学校を巡回している。スポーツに興味を持ってもらい、食生活アドバイスなど教育プログラムも行うという。 コミュニティ・プログラムは、英国の中でも最大規模だ、とヴィカーズ氏は胸を張る。 スクール事業は有料だが、温室効果ガスの環境問題に取り組むVeolia社がスポンサーになり、学校とクラブとVeolia社が 互いにメリットがある関係を築いている。 6.宝くじと提携、サッカーくじは顧客 クラブは、外部(ドイツ)の宝くじ会社と提携してRams Lotteryと名付けたくじを売り、売り上げの25%をクラブに還元してもらっている。 サッカーくじのスタジアム内での販売は、ブックメーカーがスタジアムに使用料と手数料を払って営業。売り上げた金額から一定額がクラブに還元される。クラブから見るとサッカーくじは、クライアントのひとつ。 オンライン・ベッティング会社は、今年はイングランド2部自体がSky Betがリーグ冠スポンサーになっているため、クラブが他社と契約することはできなくなっている。 オンライン・ベッティングは、成長産業だけに、クラブ経営面に鑑みれば、対象として考えない訳にはいかない。八百長は犯罪であり、イメージ的な問題もあるが、彼らは正当に運営していると信じるしかないという。 7.市民にとって、なくてはならない存在 「もともと大規模な再開発が予定されていたエリアなので、当初は具体的な計画はなかったものの、スタジアムが建った後に、周辺に商業施設などができてくることは十分に予想できた。 スタジアムの中にも、スターバックスやグレッグスというテナントも入り、フィットネスクラブには地元の人々が集う。スターバックスが入っているスタジアムは、欧州を見渡してもここだけ。しかもダービーのスターバックスは英国でも最大級の広いスペースを持っている。ちょっとスタバを持ち上げ過ぎたが、クラブはスタジアムを中心に発展するものだ。 ホームゲーム以外の日にも活用されるスタジアムは、それだけクラブの魅力を伝える機会を持つということ。ファンに来てもらいやすい、良い立地条件が確保できれば、多機能複合化は必然的だ。 スタジアム立地の良さは、クラブの強みになる。現在、来場者の60%は公共交通機関を利用してスタジアムに来る。公共交通機関でアクセスしづらく、駐車場から出るだけで1時間を要したり、高速道路に乗るのに時間がかかるスタジアムがある中、プライドパークは、駅から徒歩圏。そして駐車場も、周辺を合わせ5,000台分あり、駐車場から出た車もスムースに高速に乗ることができる。 ダービー市は、人口25万人の小さな都市。高級車のロールスロイスとダービー・カウンティ、このふたつだけが世界に誇れるもの。ダービー・カウンティというクラブは、ダービー市民にとって、なくてはならない存在なんだ」。 ヴィカーズ氏は、「130年かけて積み重ねてきたもの」を熱く語ってくれた。
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