Jリーグ欧州スタジアム視察2014
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Ⅲ‐1.ダービー・カウンティFC Jリーグ欧州スタジアム視察2014報告書 (2014年2月8日(土)~16日(日)) 27 (3)亡きファンのメモリアル・プレート 正面玄関の外の床面には、亡くなられたファンの名が彫られたプレートが埋められている。 2012年6月に79歳で亡くなられた、マーソン氏(ツアーガイド)のバーバラ夫人のプレートも、「クラブよ、永遠に」というメッセージとともにあった。 この他、館内の階段や諸室の壁面の至る所に往年の名選手の写真が飾られ、「クラブは伝統を重んじ、しっかり守っている」と意思表示している。 ホームスタジアムの新設移転に反対し、旧スタジアムを改修すべきと訴えるファンの声もあったという。 「それでも移転は正しい判断だった。プライドパークが完成すると、誰もが受け入れてくれた」、とダービー・カウンティの運営チーフ、ジョン・ヴィカーズ氏は語った。 4. 竣工後もスタジアムを進化 (1)年々、ラウンジを増設 新スタジアムが竣工し、最初のシーズンが終わると、クラブはコーナーにボックスシートを18室、150人収容のラウンジを3室増設した。 コーナーの8人用ボックスシートは、1室£1万6,000(268万8,000円)/年。メイン中央部(£2万7,000(453万6,000円)/年)よりも4割安く設定している。 翌年には反対側のスタンドにも500人用のラウンジを備えた観客席を増やした。試合のない日、ラウンジは会議、セミナー、宴会に利用される。 また、大型映像装置や国道から見える壁面を利用して広告を掲出、試合以外の収益をもたらすようスタジアムを活用している。 (2)ラウンジでは、計3,000食を提供 ダービー市には、トヨタ自動車の工場があることから、トヨタがクラブスポンサーになっている(ダービー市と豊田市は姉妹都市)。 メインスタンドは「トヨタ・ウェスト・スタンド」と名づけられ、ラウンジにも「トヨタ・スイート」、「トヨタ・エグゼクティブボックス」という部屋がある。 割り当ての無償チケットを職員の福利厚生に使ったり、社内のイベント(社員の表彰式や忘年会など)をスタジアムで開催している。 トヨタ・スイートや、往年の選手名を付けたラウンジ等も含め、試合時には合計で3,000食のケータリングを提供している。 スタンドのゾーニングにもこだわりを見せている。 車椅子席はスタンド最前列。アウェイ・サポーターの応援エリアは、来シーズンから、ゴール裏からコーナーに変えるという。

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