Jリーグ欧州スタジアム視察2014
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Ⅲ‐1.ダービー・カウンティF C_ Jリーグ欧州スタジアム視察2014報告書 (2014年2月8日(土)~16日(日)) 26 財布に入り、選手人件費やクラブ経営そのものに充てられるが、スタジアムの維持管理、改修にもその一部が充当される。 ただ、プレミアリーグなら最下位でも£1億(168億円)見込める配分金は、2部リーグでは£500万(8億4,000万円)程度しか期待できない。 下位リーグのクラブは、スタジアムの建て増しや近代化を計画的にすすめるのは難しいという。 3. 歴史を伝えるスタッフ (1)82歳のツアーガイド プライドパークを案内してくれたのは、82歳のスタジアムツアーガイド、シド・マーソン氏。 1961年からダービー・カウンティの職員として、半世紀以上をクラブに捧げている伝説的スタッフだった。 まず先に、玄関ホールに掲げられている1888年のフットボールリーグ創設メンバーのプレートを指差し、その隣の様々な陳列物と、それにまつわる逸話をユーモアを交えながら紹介してくれた。 「監視カメラは95台、試合時の警備員は300人、警察官は20人。近隣のノッティンガム・フォレスト、レスター・シティ、それにリーズとの試合には増員する。スタジアム内にある監獄にサポーターが収容される場合は20分間のみで、頭を冷やしてもらった後は相手クラブか警察に引き渡す」と、警備体制等も紹介する。マーソン氏は、クラブのチーフ・スチュワードやスタジアム安全管理責任者としても職歴があるからだ。聞いている私たちは、まるで彼の孫になったような気分になる。 (2)レジェンドがスタジアムのシンボル スタジアム敷地の国道側に、黄金時代を築いたブライアン・クラフ監督とピーター・テイラーアシスタントがカップを持った銅像が立つ。 広々としたスタジアムの玄関を入ると、正面にクラブ発足時の集合写真と、このスタジアムのオープニングに臨席されたエリザベス女王の写真が掲げられている。プライドパークは、竣工時に女王が足を運ばれた最初のスタジアムだそうだ。 フィールドに出ると、1892年からダービーでプレーし、フットボールリーグで歴代2位の得点記録を持つ伝説的選手、スティーブ・ブルーマー(イングランド代表)の胸像が、ホーム側チームベンチの横に置かれている。スタジアムをミュージアム化しようと、クラブがこだわっているのが感じ取れる。

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