Ⅲ‐1.ダービー・カウンティFC Jリーグ欧州スタジアム視察2014報告書 (2014年2月8日(土)~16日(日)) 25 1997年7月、新スタジアム「プライドパーク」が竣工。チームは1995/96シーズンに2部で2位になってプレミアリーグ昇格を果たし、2シーズン目を新スタジアムで迎えることになった。 建設中の1年(1996/97)は、プレミアリーグから猶予が与えられたのだろう。新スタジアムによって、平均入場者数は前年の17,889人から29,105人と、162.75%に増加した。 2. 立地がもたらしたスタジアム・メリット (1)スターバックスとグレッグス 木曜日の朝、プライドパークに着くと、コーヒーのスターバックスと、サンドイッチチェーンのグレッグスが目に飛び込んできた。 伝統的なフットボール文化が染みわたるイングランドでは、コベントリー(リコーアリーナ)は例外として、平日はクラブのメガストアだけがひっそり営業しているのが通例だが、プライドパークは駅近。加えて1時間に150台の車が走る国道沿いでもあり、テナントが人々をスタジアムに吸い寄せている。 スターバックスは年中無休。朝7時から18時まで営業している。 試合日は、契約上、グレッグスはキックオフ2時間前に店を閉じるが(場内売店へのアドバンテージを優先)、スターバックスは営業する。 2007年からテナントとして入っているスターバックスは、店内にかつてのホーム「ベースボール・グラウンド」で使われたターンスタイルやクラブ史を飾ってクラブへの忠誠をアピールし、試合日はケータリング会社とも提携している。 プライドパークのスターバックスはダービー市の街中で最も人気の高い待ち合わせ場所の一つに発展しているという。 (2)更なる敷地内の多機能開発プラン クラブは、国道から見える壁面や、2台の映像装置を使って広告収入を上げている。更に、スタジアムの外回りに多目的スポーツアリーナ、レストラン、バーを建設し、一層活性化させる「プラザ@プライドパーク」計画を公表。スタジアムの多機能化を推進している。これもアクセスの良い立地だからこそ生まれたプランに違いない。 £1,000万 (16億8,000万円)かけて、スタンドを40,000人収容に増設するプランもあるという。一度屋根を外して、3層目を設ける構想だ。 (3)10年間の大型ネーミングライツ 昨年12月、プライドパークは、スポーツ飲料の「iPro(アイプロ)」と10年間で£700万(11億7,600万円)の命名権契約を結んだ。 自前のスタジアムなので、命名権収入はクラブのスターバックス店内の様子 ⒸDerby County FC Pride Park Plaza, Derby© maber
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