Jリーグ欧州スタジアム視察2014
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Ⅱ-3.FCルツェルン Jリーグ欧州スタジアム視察2014報告書 (2014年2月8日(土)~16日(日)) 23 ラウンジは最大で3つの空間に区切ることもでき、結婚式や洗礼の儀式などでも利用が可能とのことであった。日本のスタジアムにこのようなラウンジがあれば、法人会員となってもらうことのメリットとして商工会議所や商店街などの会合などで利用いただくことでスタジアムをより利活用できたり、また一社では購入しがたい高額なラウンジをホームタウンの皆さまにも多くご利用いただくことができるのではないかと思った。 上層には12部屋の個室「スカイボックス」もあり、こちらはCHF12~15万(1,368~1,710万円)/年とさらに高めの価格設定となっていた。 (5)新スタジアムの効果と今後 新スタジアムになり観戦環境が快適になったことで、それまで3,500枚程度であった年間チケットは、現在ではホスピタリティシートも含めて6,000枚まで伸長した(一時は7,000枚に達し、街中が新スタジアムブームだったとも)。 また、新スタジアムになり女性と子どもの来場者が増加し、新たにファミリーシート(大人2人+子供2人でCHF88(10,032円))を設けるなど未来のファン・サポーターを育てる取り組みも行っている。 スイス独特の「スタジアム運営会社がクラブを保有するスキーム」により、肝心のクラブ運営が弱含みな感もあったが、育成部門のトレーニング施設の建設が始まるなど、徐々に改善されていくものと思われる。 3.所感 ルツェルンでは、街とクラブの規模に合ったサイズのスタジアムを造るだけではなく、全体のスポーツ公園整備を、行政が民間の力もうまく取り入れながら、また、スポーツの価値を認識した上で強力に推し進めていることが強く印象に残った。 日本にもよくある「総合運動公園」の形に限りなく近い形態であるが、単なる体育施設の集合体に留めずに、ホームタウンの住民がより良く健康に人生を送っていくことを考えながら建設が進められている印象であった。国体などを契機とした「総合運動公園」は日本中にあると思うので、自治体やその関連団体の方々が、既存の運動公園の改修などを考えている場合に視察するには、とても良い事例であると思う。 一方で、スタジアム周辺に、クラブエンブレムやクラブカラーをモチーフとしたものなどはなく、市街地にもFCルツェルンを感じさせるようなものは見受けられなかった。その点では、新スタジアム建設の際に、過去のスタジアムの遺産やシンボルを移設することなどは念頭に置いておきたい。 大宮も県営公園の中にスタジアムが存在するので、自分たちが置かれている状況、公園の活用方法と重ね合わせてイメージできるところも多く、非常に有意義な視察であった。 企業によるノンマッチデーでのイベント利用 建設が始まっている育成用のトレーニング施設。

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