Ⅱ-3.FCルツェルン Jリーグ欧州スタジアム視察2014報告書 (2014年2月8日(土)~16日(日)) 21 ることでスポーツ施設群以上の価値を地域にもたらしている、という2点が印象的であった。 サッカー場の横にテニスコートやプールがある総合運動公園は日本にも数多くあると思うが、そのリノベーションプランとして、スーパーマーケットなど暮らしに必要なスポーツ以外の施設を入れたり、部分的に民間の参入を認めることで、既存の総合運動公園を人々にとってより有益なものに生まれ変わらせることができるのではないかと感じた(日本では公園に関する法律や条例が数多くあるので、障壁も多いと思われるが)。 (3)コンパクトだが洗練されたスタジアム 新スタジアム建設のきっかけは、スイス・スーパーリーグが定めるスタジアムライセンス基準を満たしていなかったことによる。構想自体は1995年頃に生まれたが、その後気運は一度トーンダウンし、2004年から構想を再開、2006年に基本計画が完成し、2009年に着工となった。2008年の欧州選手権などの国際試合を契機にした構想ではないため、最初の構想から着工までは15年を要しており、あらためてスタジアム建設ということの大変さを感じた。 スタジアムも含めた敷地の所有者は市であり、スタジアム所有会社(Stadion Luzern AG社)は市と無料で100年契約を結んでいる。 スタジアム自体は2万人に満たない収容人数が示すようにコンパクトなスタジアムであるが統一されたアートディレクションにより非常に洗練された印象を受けた。なお、内装も設計を担当した建築家が行ったそうである。 すべての運営諸室がメインスタンド下に収まっており、育成部門のトレーニングジムなどもメインスタンドの諸室周りに存在する。 4つのスタンドは、すべて屋根に覆われ、観客席もFIFAワールドカップ・ブラジル大会の試合会場でも採用される椅子を使用している。背もたれ50cm、2層構造となっている椅子は中に空気が入るため、お尻が冷たくなりにくいそうである。ビジターエリアは屈強な壁で完全分離され、殺伐とした空気感であった。 金色に輝く外壁が印象的なスイスシュポル・アレナ ピッチまで約6m。屋根に覆われた専用スタジアム ネイビーと金色に彩られた洗練されたコンコース ビジター側飲食売店には防犯用のフェンスがかかる
元のページ ../index.html#22