Ⅱ-1.FCバーゼル Jリーグ欧州スタジアム視察2014報告書 (2014年2月8日(土)~16日(日)) 13 ットセールスの基礎的な顧客データ管理としての機能を持ち得るシステムともいえる。 <ピッチ> 凍結防止のヒーティングシステムを取り入れている。地中10cmの地点が8℃になる温水パイプを敷いている。エネルギーは電力。スタンドの座席にはヒーティング設備はない。天然芝ピッチは、スタジアム外壁が可動して通風しやすい構造のため、2001年の完成後、2008年のUEFA EURO開催前まで張り替えずに済んだ。その後、2012年、2013年(イベントで芝が壊れた)に張り替えている。張り替え費用はCHF約25万(2,850万円)。修復用の芝は、近郊で育てている。 FCバーゼルでは、人工芝と天然芝を比較したところ、天然芝の方が維持管理コストが安いという結論に達した。人工芝は砂やゴムの補修や、それに必要な機材が高く、散水費用もばかにならないとのこと。海藻を芝の肥料として導入するという環境都市らしい取り組みも紹介された。 (5)スタジアムがクラブの収入源 クラブは、スタジアム使用料として、バーゼルユナイテッド社に年間CHF360万(4億1,040万円)を使用料として支払い、自由に使用できる。 クラブの年間予算はCHF約6,000万(68億4,000万円)。チケット収入等サッカー関連で約30%、ショッピングモールのテナント料(CHF300万(3億4,200万円)/年)や、オフィスのテナント料も収入の約30%を占めることから、スタジアムが重要な収入源となっている。試合のない日の会議やパーティーで得た施設使用料もクラブの収入となる。 また、スタジアムの屋根にはソーラーパネルが設置されており、発電した電力は市内の電力会社へ売却され、収入の一部となっている。 その他、年1回コンサートが行われるが、ピッチを使用する場合、その芝の管理が重要となることは言うまでもない。 3.所感 今回の訪問において、試合日以外のスタジアムの利活用を推進する上で複合施設の誘致、整備が 非常に有利に働くと改めて感じた。 また、クラブ経営とスタジアム経営が一体となり、同じ方向性を持たせることが、互いの利益を相反させない上で重要となることから、クラブ(鹿島アントラーズ)がスタジアムの指定管理者としての認定を受けたことは間違いではなかったと認識することができた。 なお、今後の課題として、指定管理者となったクラブがスタジアムに複合施設を付帯させ、スタジアムの付加価値を高める等して、結果的にクラブ収益を改善させていく上で、自ら保有していない設備(スタジアム)へどのように手を加えていくか、その理論的整理と指定管理者となる以外の新しいモデル(スタジアム経営権の確立、保有若しくはスタジアム自体の保有)の確立が求められていると感じた。 IC読み取り機
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