スタジアムプロジェクト欧州視察2010報告書
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Ⅵ‐1.バイエルン・ミュンヘン Jリーグ スタジアムプロジェクト 欧州視察報告(2010年10月) 79 (2)FCBについて オーディトリアムにて、ルーダーシュミット氏およびヘーゲレ氏よりFCBについてのプレゼンテーションを受けた。 ①ドイツ王者であるということ FCBは成功しているクラブの1つである。22回のリーグ優勝、UEFAチャンピオンズリーグやトヨタカップなど、獲得できるタイトルは獲得してきている。FCBが世界で唯一と誇れることは、26名のFIFAワールドカップチャンピオンがいることである。南ア大会には13選手が出場(チェルシーは12選手)、11名が準決勝までプレーした。成功の影には躓きもあり、オフシーズンが短かった影響から今期のリーグ戦ではまだコンディションが上がっていない。 FCBにはこれまでの歴史において3つの柱がある。今述べた通り世界王者が多数いること、マテウス、ミュラー、カーンといった魅力的なキャラクターが多数在籍してきたこと、有名になったことによる経済的な成功、である。このようなことから、大きなパトロンや行政の支援は無くともこの17年間赤字は出さずに来ている。我々より大きなクラブはいくつかあるが、彼らは赤字を出しており、我々の方がよりよい経営をしていると言える。 ②FCBの組織 FCBには選手やコーチなども含め330名のスタッフがおり、年間€3.4億(408億円)の収益を挙げているので、一人当たり€100万(1.2億円)を稼いでいる計算になる。FCBは株式会社で、代表取締役はカールハインツ・ルンメニゲが務めている。 我々はただのサッカークラブではなく、1つの企業である。それぞれのセクションに大切な役割がある。一方で、サッカーも大変重要である。 ◆スポンサー・マーケティング部門 FCBにとって最も重要なセクションであり、スポンサー契約などを扱っている。重要なのは、スポンサーにとって最上級なものを提供するということであり、例えば自動車はアウディと契約しているが、選手にはアウディに乗るよう義務付けている。 スポンサーとの取り組みは年々重要度を増しており、アディダスとは戦略的な契約を締結している。 ◆マーチャンダイジング部門 昨年€3,500万(42億円)を売り上げた。これはヨーロッパ1の売上である。現在ファンショップはドイツ国内に6か所(ミュンヘン市内、ミュンヘン空港、中央駅、ホーフブロイハウス(有名なビアホール)横、アリアンツ・アレナ、ゼーベナー・シュトラーセ)ある。マーチャンダイジングは最初から自分たちで行っている。 ◆チケッティング・クラブ会員部門 チケットは自分たちで販売しており、ファンはFCBのチケットセンターで直接購入するか、インターネット販売で購入する。2005年よりアリアンツ・アレナでの試合となったが、これまで115試合のうち110試合が完売、着券率は95%となっている。1試合当たりのチケット収入は、€350万(4.2億円)。 ◆TV放送権・ニューメディア部門 TV放送権はブンデスリーガとDFBカップを扱っている。このセクションでは公式サイト(以下、HP)制作、FCB.tv等も扱っており、HPは世界で最も有名なHPと言われている。ドイツ語のほか英語、スペイン語、日本語、中国語のページを用意しており、毎月3,000万PVをカウントしている。新たな試みとしてFacebookや、iphoneでのコンテンツ(無料アプリ)なども作成している。 ◆アカデミー部門 U-8からU-23まで19のチームがあり、U-8からU-12までは1チームずつ、U-14からは2チームずつで活動している。スカウティングには大変力を入れており、30チームと提携、所属チームからの推薦を確認してセレクトしている。 良い例としてハーグリーブス選手(現マンチェス

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