Ⅵ‐1.バイエルン・ミュンヘン Jリーグ スタジアムプロジェクト 欧州視察報告(2010年10月) 76 A:スタジアム株式会社には20名のスタッフがおり、うち7名が技術者、3名がグリーンキーパー、2名が行政担当、4名がマーケティング担当、残りが事務を担当している。このほかに平日は50名(清掃やケータリングを担当)、試合開催日は1,500名(セキュリティ、ケータリング等)が運営に当たる。 Q:照明について工夫等あれば。 A:最新の機材を使用しており、3DやHDに対応できるようになっている。照度は2,000LX以上ある。 Q:座席のナンバリングが分かりやすいと言われているが。 A:座席表示は工夫した。建築家は表示が大きく出るのを嫌がったので、完成し引き渡された後、自分たちで表示をたくさん付けた。来場者は2方向からしか来ず、そこから座席に着くまでの距離が短くなるよう工夫されている。 Q:メンテナンス費用は? A:今後取り組むべき問題であり、現在修理費を含まず年間€900万(10.8億円)、清掃だけで€150万(1.8億円)かかっている。ちなみにジャイアントスクリーンは5年で減価償却だが、現状も問題なく使えている。スタジアムの価値は33年後にゼロ。内装はあと15年は価値があると言われている。 Q:2つのホームクラブを抱えているが、1つに絞った方が稼げるのでは?今日まで「ホームのため」に作られたスタジアムを視察してきた。ここはそうではなく、FCBの香りがしない・・・。 A:このスタジアムはニュートラルなので、どちらかに偏ることはできない。最初から2つのクラブが関与し、計画されているため全く問題ない。ただし、2年後にはスタジアムの座席が赤くなっているかもしれない(笑)。 Q:建設にあたり、使用者(クラブ、プレイヤー)の意見は聞いたか? A:選手や監督の意見は、何れいなくなるので大きな意味をなさない。ファンの意見が最も重要である。現在18万6千人いるファンクラブ会員は客席がピッチに近く、屋根があることを何よりも望んでいた。また、車椅子利用者、視覚障がい者の意見、スポンサーの意見も尊重した。また、FCBのトップであるヘーネス会長、ルンメニゲ社長は「ファン、スポンサーにとって故郷でなくてはならない」と考えた。選手が過ごしやすいことも大切であり、トップの理解というのは非常に重要である。 3. ゼーベナー・シュトラーセ アリアンツ・アレナからバスで約50分、ミュンヘン市中心部に近い閑静な住宅街の奥に、FCBのヘッドオフィス・練習場である「ゼーベナー・シュトラーセ」がある。一時期マーチャンダイジング部門などが隣の町にあったが、2008年8月のリニューアル時にはヘッドオフィス、ファン向けのサービスセンター等も併設され、バイエルンファミリーが集結することとなった。 ランチをスタッフ用カフェテリアでごちそうになった後、ルーダーシュミット氏の歓迎のあいさつに続き、ユング取締役による施設案内が行われた。
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