Ⅵ‐1.バイエルン・ミュンヘン Jリーグ スタジアムプロジェクト 欧州視察報告(2010年10月) 75 (6)スタジアムマネジメント ①組織 スタジアム株式会社はFCBと1860ミュンヘンの50%ずつの出資によって誕生した。ミュンヘン市長も組織には関与しているが、出資は無い。現在は100%FCBが出資している。代表取締役はスタジアム株式会社のプロパーだが、FCBより役員を2名出している。クラブとスタジアムが支え合い助け合うことが重要だと考えている。 前述のとおり自治体からは金銭的にも人的にも支援は受けていないものの、年間を通じて連携は取っている。 ②ビジネスモデル ◆ネーミングライツ ネーミングライツを保有するアリアンツとは、20年契約を締結している。 ◆試合開催時 両クラブは、アリアンツ・アレナを借りて試合を行っており、使用料、広告掲出料等を支払っている。 ◆スタジアムの収入 スカイボックスのほか、ケータリング(年間€2,500万(30億円))、駐車場料金、会議利用などによる収入がある。年間総収入は€5,000万(60億円)。ポジティブな結果であり、満足のいく収入である。 ◆アレナカード アリアンツ・アレナ内のみで使用できるICカード。現在200万枚が発行済みで、年間€1,000万(12億円)の収益を生んでいる。アレナ内の飲食売店、ファンショップ、駐車場で使用できる。 ◆来場者 年間400万人が来場。うち試合観戦での来場者は250万人である。 (7)質疑応答 FCBのイベントボックスにて スタジアムツアー後、ムッツ氏によりプレゼンテーションがあり、質疑応答を行った。 Q:アリアンツ・アレナがここにできたことによる環境への影響は? A:ほとんどない。ここに建設されたことによって、市内の交通渋滞は解消された。 Q:市が「スタジアムでなければ許可していなかった」と発言したとのことだが、市がこのプランを推進した理由は? A:クラブ、スタジアム株式会社、市のそれぞれの役割分担をはっきり決めていたことが良かった。 Q:現在の土地所有者は? A:現在も市が所有しており、99年の賃貸契約を締結している。残念ながら減免等はない。 Q:借入金の年間返済額は? A:€1,700万(20.4億円)。現段階で半分の支払が終了しており、15年後に完済予定。順調に返済できているのはFCBの力強い後ろ盾のおかげである。 Q:スタジアムの管理体制は?
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