Ⅵ‐1.バイエルン・ミュンヘン Jリーグ スタジアムプロジェクト 欧州視察報告(2010年10月) 72 の間にスカイボックスおよびビジネスラウンジを設置している。集客があまり期待できない場合は3層目をクローズすることにより、良い雰囲気を創出することができる。このスタジアムで最も大切にしたのは「雰囲気」であり、客席も極力ピッチに近くした。 (5)スタジアムのファシリティ ①外壁と屋根 特徴的な外壁と屋根は、このスタジアムのアイデンティティとして設計された。半透明フィルムによるエアバッグが2,800個使用されており、このうち1,000個に色を付けることができる。FCBの試合時は赤、1860ミュンヘンは青、ニュートラルなときは白としている。屋根は太陽光を通すよう、一部透明になっている。旭硝子製のフッ素樹脂によるもの。 外壁越しに外が見える ②ピッチ 2つのクラブとドイツサッカー協会(DFB)が使用しており、昨シーズンは48試合開催した。このピッチはサッカーのみで使用しており、コンサート等はオリンピア・シュタディオンで開催する。これはミュンヘン市が決定した使用方法である。 他のスタジアムの失敗から学び、設計時から光、風、温度には気を使ったがうまくいかず、人工照明(Stadium Grow Lighting;以下SGL)や送風機を活用。SGLは9基導入しており、ピッチ反面をカバーする。SGL導入前は年に1~2回張り替えを行っていたが、導入した2008年以降は張り替えを行っていない。 技術的に発展しているクラブは芝の管理も発展しなくてはならないというコンセプトから進んだ技術を利用しており、そのために優れた3名のグリーンキーパーと5名のアルバイトを雇用している。 SGLはスタジアム外にて保管 ②プレスカンファレンスルーム 600名収容。FIFAの規定に沿って作ったが、FIFAワールドカップでは使用されなかった。この規模のプレスカンファレンスルームはめったになく、誇りに思っている。2012年のUEFAチャンピオンズリーグ決勝に使用される予定であり、€100万(1億2千万円)かけて改修を予定しているとのこと。 音響設備や照明などが充実しており、バーコーナーも併設されている。 ③チーム更衣室 チーム更衣室は4室あり、FCB用、1860ミュンヘン用、ビジターチーム用2つとなっている。FIFAワールドカップだけでなく両クラブのホームスタジアムとなることが決まっていたため、当初からこのとお
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