スタジアムプロジェクト欧州視察2010報告書
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Ⅵ‐1.バイエルン・ミュンヘン Jリーグ スタジアムプロジェクト 欧州視察報告(2010年10月) 71 できない、という大きな問題があった。2001年1月、ミュンヘン市、FCBおよび1860ミュンヘンが新スタジアム建設を決定。最初から両クラブが協力しワールドカップが開催できるスタジアムを目指し、計画された。 (2)用地選定 この場所は26の候補地から選ばれた場所である。他に大きなスタジアムを建設できる場所がなく、早い段階で26から3箇所に絞られた。その後、ミュンヘン市が場所を正式に決定した。 この場所を建設地として選んだ理由は、他の土地は住民からの反発が予想されており、ワールドカップ開催を考えるとどうしても2005年には完成させたかったからで、利点も次の3つがあった。まず市有地であること、工業団地として指定されていたこと、住民がほとんどいなかったことである。 スタジアム建設に際しては、ミュンヘン市がこの場所を特別地として指定し、アウトバーンの出入り口も新たに設置した。 (3)スタジアム完成までの流れ 前述のとおり2001年1月、ミュンヘン市およびFCB、1860ミュンヘンによりスタジアム建設が計画され、同年6月に用地が決定した。同年10月には建設の賛否を問う市民投票が行われ、65.8%の賛成票を集め建設が決定。2002年2月、建設がスタート、2005年4月30日に完成に至った。 総工費は€3.4億(408億円)。FCBと1860ミュンヘンが銀行からの融資などによって投資した。ミュンヘン市は出資していないが、Uバーン(地下鉄)やアウトバーンなどのインフラストラクチャ整備や建設許可の部分で協力した。この協力があったので早期完成に至った。計画から4カ月で資金などの準備ができたが、市が許可を出したのもスタジアムだからこそ、とのことである。 (4)スタジアム概要 ①アクセス ミュンヘン中央駅から車で30分。アウトバーンが2本交差する場所にあり、駐車場は普通車用11,000台、バス用を350台用意している。アリアンツ・アレナに来場するファンは、家からの移動距離が往復平均260kmになるとのこと。Uバーンも中央駅から24分。3分に1本到着する便利さで、最寄駅からスタジアムまでは1kmの一本道。市によって最近駅が拡張された。 ②収容人数 ビジネスラウンジ、ビジネスシートも含め、収容人数は69,901人。これは1Fの北スタンド、南スタンドを立見席として使用した場合の人数で、国際大会時は立見席に座席を出し66,000人となる。この収容人数は、FIFAワールドカップ開幕戦および準決勝が開催できること、FCBだけでなく1860ミュンヘンもホームスタジアムとして使用するためあまり大きくできないこと、スタジアムの雰囲気(イングランドのプレミアシップでは多くが50,000人前後の収容人数)、コストの問題等から決定された。 ③構造 ドイツ唯一の3層スタジアムで、2層目と3層目

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